SD-WAN導入時に考慮すべき4つのポイント
このようにSD-WANが進化していくなか、ユーザー企業はSD-WAN導入時に何を考慮すべきなのか。渡邊氏は(1)導入規模、(2)WANの構成、(3)セキュリティ、(4)uCPEの4つの観点でポイントを整理した。
(1)導入規模に関して、拠点数によって最適な管理形態と機能を選択することが重要だという。
拠点数が多い場合には、各拠点のCPEをクラウド上のコントローラーから一括管理できる「コントローラー中心型」が適しており、加えて、マルチテナント管理の必要性も考慮してサービスを選ぶとよい。「部門ごとにやりたいことが異なる場合、権限を譲渡して個別に管理してもらうことができる」からだ。
一方、拠点数が少なければ、そうした機能がないデバイス中心型で「低価格に抑える」ことが可能という。
ジュニパーのSD-WANによる通信制御のイメージ
(2)WANの構成に関して、「可視化機能や拠点ごとの通信品質の制御」を考慮することが重要になると話した。特に重要なのが、アプリケーション種別に応じた可視化・制御だ。上の図は、ジュニパーが提供するSD-WANの通信制御機能を示したもので、音声通話やオンライン会議などリアルタイム性の高いアプリケーションを優先的に制御できる。このように、アプリケーションごとのルーティング制御が簡単にできるかどうかが、ソリューション選択において重要になると強調した。
(3)セキュリティに関して、拠点ごとに必要な機能が異なる点に留意しなければならない。ファイアウォールやUTM機能など「使いたい機能が(ハードウェアを交換することなく)ライセンスのみで追加できるかどうか」を見極めて選択することが肝要だという。
これとも関連するが、(4)uCPEについても十分に考慮することでSD-WANの価値はより高まる。例えば、オフィスと工場では必要なネットワーク/セキュリティ機能が異なるが、「それを同じハードウェアプラットフォームで展開できることが重要」(渡邊氏)だ。
uCPEへのVNF展開のイメージ
ジュニパーでは上の図のように、ユーザー側が“サービスカタログ”で使いたいVNFを選び、各拠点のCPE(Juniper SRXシリーズ)に配備できる仕組みを用意している。複数の機器を設置する必要がなく、また各拠点に設置するハードウェアも共通なため、「同じオペレーション、同じメンテナンスでネットワークが運用できる」のが大きな利点だ。
このように渡邊氏は、SD-WAN導入時の考慮ポイントとともに、SD-WAN 2.0を実現するためのジュニパーの取り組みを紹介した。またセッションの最後には、2020年10月にAI SD-WANベンダーの128 Technologyを買収したことも紹介。今後同社のAIテクノロジーが加わることで、さらなるSD-WANソリューションの、拡充が期待できそうだ。
Juniper Virtual Summit for Japan
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https://juniper-virtual-summit.smktg.jp/public?cpcode=rictelecom