日本のIoT活用状況はアジア最下位ボーダフォン調査で「IoTの採用を検討したことがない」企業が45%

日本企業のIoT活用がグローバルとの比較で大幅に出遅れていることがボーダフォンの調査で判明した。採用の検討すらしていない企業の割合が多く、IoTに及び腰の日本の経営者の姿が浮かび上がる。だが、新型コロナウイルスによる社会の変化がこうした状況を変える可能性もある。

「普及が遅れていると言わざるを得ない」。日本企業のIoT採用について、ボーダフォン アジア太平洋地域 IoTカントリーマネージャー(日本)の阿久津茂郎氏はこのように指摘する。
ボーダフォン アジア太平洋地域 IoTカントリーマネージャー(日本)の阿久津茂郎氏

ボーダフォンは2020年11月、「IoT Spotlight 2020レポート」を公開した。これは「IoTの普及状況と、IoTがどう使われているか、どのように企業の役に立っているかをまとめたもの」だと阿久津氏は調査の趣旨を説明する。

ボーダフォンは従来、IoT普及状況調査レポート(参考:IoTを導入しない企業は5年以内に脱落する? 日本企業が生き残るための4つの方法)を通年で発行していた。

今年度は新型コロナウイルスが拡大している中で、IoTが事業継続などに大きな役割を果たしたという背景もあり、活用方法などの調査項目も盛り込んだ形だ。調査は13カ国の製造や金融、病院など9業種・1639社を対象に経営層からマネージャークラスまでを対象に行われた。

調査は13カ国、9つの業種、1639の企業を対象に2020年5月に行われた

なお、今回の調査におけるIoTの範囲には、「PCやスマートフォンなど日常的に人間が使うものは含まれていない」(阿久津氏)。施設内の機械や企業の製品など、基本的にネットワークにつながっていなかったモノをネットワークにつなげた事例を対象としているという。

日本のIoT活用状況はアジアで最下位ボーダフォンのIoTの普及状況調査レポートでは毎年、日本企業のIoTへの取り組みの遅れが指摘されていたが、今年度はその傾向がさらに強く浮き彫りになった。

IoTを採用した企業の割合は、グローバルの45%に対し、日本は31%に留まっている。「この数字は、今回の調査対象だったアジア地域の中でも最下位だった。インド、中国、韓国、シンガポールに比べても日本のIoTの取り組みは遅れている」と阿久津氏は指摘する。

IoTの採用企業は毎年増加傾向にある

さらに、阿久津氏が「衝撃を受けた」調査結果があるという。「IoTの活用を検討したことが無い企業を調査したところ、グローバル平均は16%であるのに対し、日本は45%にものぼった」ことだ。

検討すらしていない企業が多い理由について、阿久津氏はこう述べる。「所感ではあるが、経営者のマインドが大きいと感じている。大手企業はすでにIoTの取り組みを始めており、そのパワーも理解している。課題は中小規模の企業だ。背景には経済的な余力が少ないという事情もあると思うが、IoTのメリットや導入方法がイメージできていないために消極的になっているのではないか。我々のようなベンダーサイドも、より分かりやすくIoTのメリットを伝えていく必要がある」

出遅れている企業を尻目に、IoTを活用している企業は成果を得ているようだ。「IoTを導入した企業のうち、82%もの企業が売上が増加したという結果が得られた。高い投資費用対効果が得られたと回答した企業も60%にのぼった。イノベーションに向けて、IoTから得られたデータを活用していると答えた企業も81%だ」と阿久津氏は解説する。

IoTを採用した企業の8割が売り上げの増加などのメリットを感じている

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