デジタルによる新たな文化鑑賞スタイルを確立へ、NTT東が新会社設立

NTT東日本は、新会社「NTT ArtTechnology」を設立する。新型コロナウイルスの影響から、美術館や博物館に足を運ぶ従来型の文化鑑賞は変化を余儀なくされている。NTT ArtTechnologyは文化財のデジタル化やオンライン配信により、時間や場所を選ばない、新たな文化鑑賞スタイルの確立を通じて、地域文化伝承に貢献したい考えだ。

NTT東日本は2020年11月25日、文化芸術分野における新会社「NTT ArtTechnology」を12月1日に設立すると発表した。

NTTグループで地域通信事業を担うNTT東は、農業や醸造業、養殖業など様々な分野において地域文化の伝承に取り組んできた。NTT ArtTechnologyでは、地域の文化芸術伝承を通じて地域創生を目指すという。

NTT ArtTechnology代表取締役社長(就任予定)の国枝学氏

新会社の主な事業内容は、①文化財の高精細デジタル化、②デジタル化した所蔵元認定の著名作品のオンライン配信、③ICTを活用したサテライトミュージアムの構築・運営と、自宅などからもバーチャル鑑賞できるプログラムの提供の3つだ。

文化財のデジタル化や所蔵元認定デジタルデータとマスターレプリカの提供については、アルステクネ(東京都調布市)と協業し、同社のデジタルアーカイブ技術および再現技術を活用している。これにより、和紙の繊維の1本1本、あるいは微細な刷りの凹凸まで現物を再現できるという。

和紙の繊維の1本1本や微細な刷りの凹凸まで現物を再現する

また、デジタルデータはNTT東の閉域網を使って配信されるため、不正利用などを防止するとともに、低遅延によるなめらかなコンテンツ配信を実現できるとのことだ。

将来的には、彫刻などの立体作品のほか、伝統行事や匠の技といった無形の文化財にも対象を広げる予定。併せて、「立体作品のデジタル化やVR、表現技術に長けたパートナーと協業していきたい」とNTT ArtTechnologyの代表取締役社長(就任予定)の国枝学氏(現・NTTレゾナント 取締役デジタルマーケティング事業部長)は抱負を語った。

デジタル化に関連したパートナーとの協業も進める

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