<特集>2030年のネットワーク脳情報通信が現実に 言語に代わる新たなコミュニケーション手段

脳と脳が直接コミュニケーションする。夢のような世界を実現する脳情報通信の基盤が、2030年にはできあがる見込みだ。言語に代わる新しいコミュニケーションが2050年には本格化している可能性がある。

言葉を使わずに脳と脳が直接やり取りをする─。アニメやSFで描かれる遠い未来の光景が、現実のものとなりつつある。

脳から取り出した情報を通信することで、言語にとらわれずに自由かつスムーズなコミュニケーションを実現する「脳情報通信技術」の研究開発が、急速に進んでいる。

「2030年には、脳情報によるコミュニケーションの基盤ができているだろう」。こう話すのは、脳情報通信融合研究センター(CiNet:Center for Information and Neural Networks)で副研究センター長を務める田口隆久氏だ。

脳情報通信融合研究センター 副研究センター長 田口隆久氏
脳情報通信融合研究センター 副研究センター長 田口隆久氏

CiNet(シーネット)は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が大阪・吹田市に、大阪大学と連携して設立した脳情報科学の研究拠点。国内ではCiNetが中心となって、脳情報通信技術の基礎研究が行われている。

米Facebookが2017年に参入を発表したほか、米テスラCEOのイーロン・マスクがスタートアップ「Neura link(ニューラリンク)」を立ち上げるなど、海外では脳情報通信に対する有名企業の関心も高い。

脳情報通信が注目されている理由について、田口氏は「メールは行間を読むことが難しく、真意を伝えづらいように、文字によるコミュニケーションには限界がある。もっと心と心がつながる通信として、脳情報通信に期待が集まっている」と説明する。

それでは、脳情報通信技術は今どのような段階にあるのか。

月刊テレコミュニケーション2020年8月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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