シスコシステムズの中小企業向けブランド「Cisco Start」は、日本法人の独自施策として2015年9月に立ち上げられたものだ。専務執行役員 パートナー事業統括の大中裕士氏によれば、現在の国内ユーザー数は約20万社。「一定の成功を収め、数年前からアジア諸国にも展開してきた」。
シスコシステムズ 専務執行役員パートナー事業統括 大中裕士氏(左)と、
APJCアーキテクチャーセールスビジネス開発担当 中元聡氏
(説明会はオンライン形式で開催された)
この施策がグローバルレベルに拡大したのが2019年秋のことだ。それを機に「Cisco Designed」へとブランド名を刷新。今回、「改めて日本市場に向けて新たな戦略で展開する」(同氏)こととなった。
ブランド刷新を機に戦略転換ブランドの刷新に伴い、戦略も転換する。主なポイントは次の3つだ。
「中小企業のデジタル変革を支援するのがCisco Designedの目的」と大中氏は強調した
1つはターゲットの絞り込み。従業員規模が25~250名程度の企業をメインにする。
当初は100人程度までの中小オフィスや店舗等を主眼に製品の開発・提供を始めたCisco Startだったが、事業の成長に伴って徐々にターゲット層が拡大してきていた。これまで販売してきた製品は概ね「1000名程度までのお客様が使えるようになっているが、リブランディングを機に25~250名程度をターゲットゾーンに設定。かつ、ポートフォリオをクラウド型に特化した」と大中氏は話した。
この「クラウド型への特化」が2つめのポイントだ。Cisco Designedブランドで提供するネットワークスイッチやWi-Fiアクセスポイント、ネットワークカメラ、セキュリティ製品等はすべて、「クラウド管理型ソリューションに統合する」(同氏)。クラウド上の管理システムからリモートで初期設定や監視・管理が行え、かつ、月額・年額課金型で利用できるようにする。
マネージドサービスを提供するパートナー向けプログラムも強化する
3つめのポイントとして、販社向けのパートナープログラムもテコ入れする。シスコ製品/サービスを使ってマネージドサービスを提供するパートナー向けの「Cloud and Managed Services Program(CMSP)」を軸に展開。マネージドサービスパートナーが迅速にサービスを提供するための「エントリーレベルのプログラムとしてCMSP Expressを新設した」。
こうした施策によって、ユーザーはネットワーク/セキュリティ機能や、Webexで用いるビデオ端末などを初期投資を抑えて導入できるようになるという。また、これらの運用管理をマネージドサービスパートナーやシスコに任せることができるため、専任のIT管理者がいない中小企業でも導入・活用が容易になる。大中氏はCisco Designedの展開によって「ネットワークシステムを所有するものから利用するものへとシフトしていきたい」と語った。
マネージドサービスを提供する9社
なお、今回の記者説明会ではダイワボウ情報システム、富士通マーケティング、NTT東日本/西日本など9社がマネージドサービスパートナーとして紹介された。