NTTとMTIは2020年6月19日、世界初となる輻輳海域での無人運航船実現に向けた実証実験を実施するため、共同研究契約を締結した。
今回の契約締結は、「Designing the Future of Full Autonomous Shipプロジェクト(以下、DFFASプロジェクト)(※1)」を通じて実現された。
MTIは無人運航船の実現に必要なシステムのコンセプト設計と関連技術開発・検討、NTTはIOWN構想(※2)における技術の適用検討とそれぞれの強みを活かし、DFFASプロジェクトがめざす無人運航船がつくる未来の可能性の提示に向けて、共同研究開発に取り組むとしている。
無人運航船の普及を通じて実現したいことと必要な検討要素
この共同研究・実証実験において、NTTとMTIは以下の3つの技術開発のテーマに取り組む。DFFASプロジェクトをIOWNの将来ユースケースの一つと捉え、必要な要件の洗い出しと技術的課題の解決も行うという。
(1)船舶向けコンテナ配信技術
→衛星回線の狭帯域環境でのコンテナ技術とOTA(Over The Air)技術の実用化
(2)船上、および船陸間の通信制御技術
→SDN(Software Defined Network)による通信制御でのネットワークの可視化と運用性の向上
(3)船陸間の無線通信・端末技術
→舶向け5G/LTE技術の適用、衛星・モバイルのハイブリッド技術など
取り組みテーマのイメージ
今後は、2025年までの本格的な実用化に向けて、まずは2021年度の実証実験の成功をめざし、通信・基盤技術の検討・検証、搭載装置の設計・開発等を進めるとしている。
無人運航船実現までのイメージと社会に与える影響
※1 DFFASプロジェクト
日本財団が実施する「無人運航船 プロジェクト MEGURI 2040」
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2020/20200612-45056.html
日本財団に採択された実証実験プロジェクト。NTT、NTTコミュニケーションズ、およびNTTドコモが参画している。
※2 IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)構想
光を中心とした革新的技術を活用し、従来インフラの限界を超えた高速大容量通信や膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想。2024年の仕様確定、2030年の実現を目指して、NTTが研究開発を進めている。
https://www.rd.ntt/iown/