Arubaが新プラットフォーム「ESP」を発表、AI・自動化でネットワークエッジを変革する

Arubaは2020年6月18日、同社のグローバルイベント「ATM Digital」を開催した。共同創業者兼社長のキルティ・メルコーテ氏は基調講演で、新たなネットワーク/セキュリティプラットフォーム「Aruba Edge Service Platform(ESP)」を紹介。有線/無線LAN、WANの統合管理・制御、AIと自動化を駆使した運用の合理化などを実現すると話した。

AIがネットワークを「セルフチューニング」
具体的には、スイッチやゲートウェイ機器、Wi-Fiアクセスポイント等からテレメトリ情報を収集し、これをクラウド上のAIで分析。「まず、ユーザー/デバイスの環境を分析し、それぞれの『ベースライン』を把握する」(メルコーテ氏)。ここで、例えばWi-Fiの電波強度が著しく低いといった明らかな異常が見つかれば、それを管理者に通知し、改善を促す。

さらに、複数のユーザーの“ベースライン”を比較し、AIがベンチマーキングを実施。相対的な異常(電波強度が弱い、DHCP/DNSレスポンスタイムが長いなど)を見つけ出し、改善を促す。


Aruba AIOPsの効果

こうした分析に基づいて、AIは管理者に対してレコメンデーションも行う。通信品質を改善するために「この設定を変更してはどうか」といった具合にAIが提案。管理者がそれを承諾すると設定が反映される。また、こうしたプロセスを経ずに「ネットワークがセルフチューニングして、自動的に最適な状況に持っていく」(メルコーテ氏)ことも可能だという。

Arubaは、こうした運用一元化、セキュリティ、AIOPsを実現するための機能を単一プラットフォームで提供する計画だ。クラウドベースのコンソール画面から運用管理が行える「Aruba Central」に集約する。

提供形態はサブスクリプション型を軸としながらも、ネットワーク/セキュリティ機器を一気にクラウドへ移行できないユーザーにも配慮し、「ソフトウェアをオンプレミスで入れることも可能」(メルコーテ氏)だ。また、ネットワーク/セキュリティ機器の管理も含めてArubaまたはパートナーであるSIerが代行する「マネージドサービスの契約もできる」という。

日本国内でもNaaSを主流に
Arubaは、このようにネットワーク機能をサービスとして提供する「NaaS(Network as a Service)」を推進する方針であり、もちろん日本国内でも同様だ。日本ヒューレット・パッカード 執行役員でAruba事業統括本部長を務める田中泰光氏は、「約2年前からNaaSを推進してきたが、今回の(新型コロナウイルスによる)パンデミックで、そのニーズがさらに深まるだろう」と話した。


基調講演後、国内報道機関向けにオンライン説明会を行った
Aruba事業統括本部長の田中泰光氏

そのニーズに応えるため、田中氏は、従来進めてきたNaaS提供パートナーの拡充にさらに力を入れるという。

ユーザー企業規模によって、大きく2つの戦略を進める。大企業の場合は、IT子会社が親会社に対してNaaSを提供するケースが主流であるため、IT子会社との連動を図るほか、SaaSベンダーやコンサルティング会社との協業を進める。


NaaSを提供するパートナーの拡充を図る

中堅中小企業向けでは、通信キャリア/ISPやSIer等の販路拡大を目指す。すでにIIJや大塚商会、横河レンタリースがAruba製品/サービスを使ったパッケージ型ソリューションを提供しており、同様のビジネスを広げる。

こうした施策により、「2022年に売上の半分をNaaSモデルにする」と田中氏は話した。

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