IDC Japanが予測・分析を発表法人向け5G市場は「DXとの相互作用で成長する」

IDC Japanは2002年3月30日、「法人向け5G関連IT市場予測および市場調査結果」に関する説明会を開催した。アナリストの小野陽子氏は、DX(デジタル変革)による課題解決の取り組みに5Gが利用されることで市場が拡大すると展望。そのためには、5Gが「QoSが担保された信頼できる無線ネットワークになる必要がある」と指摘した。

ローカル5Gは「サービス型」のニーズが大きい
通信キャリア以外の一般企業・団体が周波数免許を取得して、自社の施設等で自営型の5Gネットワークを構築・運用するローカル5Gについても、興味深い調査結果があった。


ローカル5Gの“望ましい”運用形態

上は、ローカル5Gの導入意向を持つ企業に対して「望ましい運用形態」を質問した結果だ。ユーザー企業が自らローカル5G網を所有し運用する「自営型」と、通信キャリアやSI事業者等が運用するローカル5G網をサービスとして利用する「サービス型」が拮抗している。小野氏は、「所有から利用への流れや、スモールスタートが必要なことなどが背景にある」と分析。ベンダー側はこれを踏まえ、「サービス型のソリューション提供を強化していくだろう」と予測した。

5Gはデータ社会の毛細血管の役割を担う
5G利用の展望については、「新しい映像体験」「現場の課題解決」「社会システムの全体最適化」の3つが使いどころになると小野氏は話した。「ネットワーク技術であるという5Gの特徴を最大限に活かす」ことが重要であると指摘。『現場』と『広域』に関連したユースケースが有力であるとした。


5Gの使いどころは3点に集約される

具体的には、日本社会が抱える課題である人手不足や熟練者の不足、製造・建設作業員の安全確保といった「企業現場の共通課題」を解決するためのソリューションとして5Gを利用するアプローチが進むと予想。先進的な取り組みを進めている企業に共通する点として「まず自社に適用した後、それをソリューション化して他の産業・企業にも応用していこうとしている」動きがみられるという。

そうした流れが発展していった結果、将来的にはサプライチェーン全体の最適化やMaaS、分散電源といった、より幅広い社会課題の解決へと5Gの適用範囲が広がっていくというシナリオが考えられる。これを実現するためには、「5Gが、QoSが担保された信頼できる無線ネットワークになり、データ社会の毛細血管のような役割を担う」ことが必要と小野氏は話した。


5G+DXによる課題解決が広がる

以上のような展望を示したうえで、法人向けの5G関連IT市場は、2026年に1436億円規模まで拡大すると予測。「立ち上がりは早くないが、DXの進展との相互作用により」、CAGR(年平均成長率)198%で成長するとの見通しを示した。

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