電話とLotus Sametimeを統合――IBM「Lotus Sametime Unified Telephony 8」徹底解説

企業向けコラボレーション分野に力を注ぐIBMが、ついにPBXとの連携ソリューションを正式リリースした。電話システムとLotus Sametimeの統合が実現する。ユニファイド・ナンバーによる着信の自動転送機能も便利だ。

マイクロソフトOCSとの違い

次に、SUTのシステム構成と対応PBXについて見ていこう(図表)。SUTサーバーは、「Telephony Appilication Server」(TAS)と「Telephony Control Server」(TCS)の2つで構成されている。転送の制御などを行うのがTAS、PBXや公衆回線網と接続するためのインターフェースを提供するのがTCSだ。TCSには、シーメンスのソフトウェアPBX技術を利用しているという。

図表 IBM Lotus Sametime Unified Telephonyのシステム構成図

現時点で接続検証済みのPBXは、シスコシステムズやアバイアなど。国内ベンダーのPBXについては現在、「いろいろ話しをさせていただいている」(小峯氏)ところだという。ゲートウェイはN.E.T.製品が検証済みになっている。

SametimeおよびSUTのライバルといえば、真っ先に思い浮かぶのはマイクロソフトの「Office Communications Server」(OCS)だろう。両者の違いはどこにあるのか。

ソフトウェア事業Lotusテクニカル・セールス ITスペシャリストの松尾邦夫氏はまず、OCSは一般的な音声コーデックであるG.711に対応しないため、PBXとの連携の際、音声トラフィックがメディエーションサーバーを通る必要がある点を指摘する。そのため、例えばデータセンターにメディエーションサーバーを置いた場合、音声トラフィックは常にデータセンターを経由させなくてはならず、WANトラフィックが増大するといった課題が生じる(OCSの次期バージョンである「Lync」はG.711に対応)。また、マイクロソフトはOCS単体でも電話機能を提供するが、IBMはあくまでPBXとの連携により実現するという考え。

続いて松尾氏が挙げるのは、OCSはディレクトリサービスにActive Directory(AD)を採用する必要があることだ。「我々はADを含めて、LDAPであれば何でも対応できる。OCSはADとバインドしているため、例えばADをやめるときなど、共倒れになってしまう」。

そして最後に強調するのはコスト面だ。ADやSQLサーバーなど多くのサーバーを立てる必要があるOCSに対して、SUTはコストの点で優位に立つという。SUTのライセンスの標準価格は1ユーザー当たり2万2170円で、Sametime Standard(1ユーザー当たり1万300円)の導入が前提。このほか、サーバーハードウェアを購入する必要があるが、サーバー用ライセンスは不要である。

月刊テレコミュニケーション2010年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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