置くだけでエリア拡張、ローミングもスムーズにメッシュWi-Fiで“超手軽”な無線LAN

LAN配線無しでAPを追加し、無線エリアを拡張できるメッシュWi-Fi。現在は家庭向け製品が主流だが、企業で導入・活用する動きも盛り上がりつつある。うまく使いこなせばWi-Fiの利便性が格段にアップする。

コンシューマー向け無線LAN市場では昨年来、「メッシュWi-Fi」に注目が集まっている。米国で3~4年前から流行り始め、日本でも2018年以降、グーグルの「Google Wi-Fi」やネットギアの「Netgear Orbi」、Synologyの「RT2600ac」「MR2200ac」、TP-Linkの「Deco M5」といった製品の販売が始まった。

メッシュWi-Fiとは図表1のように、Wi-Fiルーターと複数のアクセスポイント(AP)を無線で接続してメッシュネットワークを構成するものだ。

図表1 メッシュWi-Fiの構成イメージ
図表1 メッシュWi-Fiの構成イメージ

最大の特徴は、APをつなぐLAN配線が不要なこと。APを置いて電源を入れると、ルーター/AP同士が自律的に無線接続を確立する。

APを追加した場合も同様で、自動的に既存APと接続される。家具や壁に遮られて電波が届きにくい場所にAPを追加すれば、容易に手当てが行える。

ホーム向けから中堅中小企業にも家庭向け製品が次々と市場投入される一方、現時点で企業にターゲットを絞ったメッシュWi-Fi製品はない。だが、もともと家庭向けWi-Fiルーターを使うケースも少なくない中小オフィスや店舗、工場・倉庫等でWi-Fiの需要が高まっていること、また、企業で使うに足る管理機能やセキュリティ機能を備えたメッシュWi-Fi製品が登場したことで、企業の関心も高まっている。

Synology Japanでセールスマネージャーを務める田野久敏氏は、自社のRT2600ac / MR2200acについて、「家庭向けWi-Fiルーターとしては価格が高めなため、マニアックな方が使うケースが多い。そこからビジネスユースでも使っていただくケースが増えてきた」と話す。アクセス制御やトラフィック制御、ゲストWi-Fi設定、IPS/IDS(不正侵入検知/防止)、VPN、トラフィックレポート等の豊富な機能を備えていることもあり、中小から中堅規模ネットワークでの採用が進んでいるという。「数人から数十人規模での利用が多い。数フロアにまたがるWi-Fiの構築も可能だ」(田野氏)

企業にとって、AP設置とLAN配線の工事にかかる費用と手間は大きな負担だ。メッシュWi-Fiはこれを解消する手立てとなる。また、スタンドアロン型APを運用している中小オフィス等は、メッシュWi-Fiを導入すれば、電波エリアの拡張や通信品質の改善が容易になり、かつ管理の効率も向上する。

月刊テレコミュニケーション2019年7月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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