日本シエナコミュニケーションズは2019年6月11日、米シエナ本社の社長兼CEOであるゲーリー・スミス氏の来日を機に、事業戦略説明会を開催した。
説明会では、まず日本シエナコミュニケーションズ 代表取締役社長の久米博之氏が、事業の概要と日本でのビジネスの現状を説明した。
シエナ社は、北米、南米、欧州、中東、アジア太平洋地区で事業を展開しており、世界35カ国で6500名の従業員が働いている。大手通信事業者や企業、政府機関など約1500社の顧客を擁し、うち約1000社が通信事業者。「世界の大手通信キャリアの85%に使っていただいている」(久米氏)とのことだ。
久米社長はシエナ社のプロフィールをこう説明した上で、「シエナは光伝送装置の会社と思われているが、現在はネットワークのシステムとサービス、そしてソフトウェアを含む総合的なネットワークソリューションの提供に注力している」と強調した。そのシエナが掲げるネットワークの進化形に関するビジョンが「Adaptive Network(適応型ネットワーク)」だ。
シエナが推進するAdaptive Networkのコンセプト
シエナがAdaptive Networkで目指しているのは、「オペレーターの意図を柔軟に反映できる――すなわちインテント(意図)ベースの、自動化されたネットワーク」である。
その実現手段としてシエナでは、ネットワークにプログラマブルコントローラーの機能を実装しようとしており、これを「プログラマブルインストラクチャ」と呼ぶ。
久米氏は「これをインテントベースにするには、ネットワークからAPIやテレメトリを用いて大量の情報を収集し、分析・可視化することが重要になる。シエナはこのAdaptive Networkに投資の多くを費やしている」と語った。
さらに久米氏は、日本におけるシエナの事業展開について説明。「NTTグループとは20年以上にわたるお付き合いがあり、グループの全キャリアに何らかの形で当社の製品をお使いいただいている。その厳しい品質基準に対応できるかが日本でのビジネスを進める上での鍵となった」と述べた。現在は、KDDIや楽天、QTNetにも同社の製品が採用されているという。
「楽天では、プログラマブルな光ネットワークとともに、シエナのソフトウェアネットワークコントロールシステムを導入していただいている。これにより4Gから5Gへの展開や、帯域の拡張や追加がスムーズに行える」と久米氏は説明した。
また、QTNetのネットワークでは、「フレックスグリッド対応CDCとレイヤ0コントロールプレーンにより、ネットワークが切断されても迂回路を自動的に検出、復旧できるようになっている」とのことだ。
シエナのアジア太平洋地区における主要な顧客