「この10年で通信ネットワークは大きな進歩を遂げ、人々の生活を変えてきたが、我々はこれからの数年間にさらに大きな変化を目の当たりにすることになるだろう」
インテルのネットワーク・プラットフォームズ・グループでバイス・プレジデント兼CTOを務めるラジェシュ・ガディヤー氏は、講演の冒頭でこう指摘。そのインパクトについて、5Gを契機に大きく伸びると予想されるモバイルデータトラフィックを指標に説明した。
「4年後の2023年には、モバイルデータトラフィックは2017年の8倍、毎分2ペタバイトに達する。このうちビデオは年45%もの伸びを見せ、2023年時点でモバイルデータトラフィックの73%を占めることになる。IoTの接続数も年11%で増加し、2023年には世界人口の4倍以上の314億に達する」
こうした変化に対応するため、ネットワークはどのように変わらなければならないのか。「ネットワークは、スケーラブルでプログラマブル、そしてインテリジェントでなければならない」。ガディヤー氏はこう述べたうえで、こうした特徴を備えたネットワークが「次のイノベーティブなサービスを作り出す基盤になる」と語った。
インテル コーポレーション ネットワーク・プラットフォームズ・グループ
バイス・プレジデント兼CTO ラジェシュ・ガディヤー氏
この新しいネットワークを支える基盤となるのは、NFV(ネットワーク仮想化)技術だ。
「この数年で大きな進歩を遂げたNFVにより、スケーラブルで、プログラマブル、インテリジェントなネットワークが、どんどん作られるようになってきている。EPCやIMS、ファイアウォール、ロードバランサーなどの様々なネットワーク機能がソフトウェアとして汎用サーバー上で実現され、データセンターの経済が通信ネットワークインフラにももたらされるようになった」
また、仮想化が難しいとされていたRAN(無線アクセスネットワーク)についても、「vRANやクラウドRANなどとして導入が始まっている」という。
NFVを軸としたネットワークの変革
インテルのセッションには、ゲストとしてNTTドコモ R&Dイノベーション本部 ネットワーク開発部 部長の音洋行氏も登壇。NFV化の先進事例となるドコモの取り組みを説明した。
NTTドコモ R&Dイノベーション本部 ネットワーク開発部 部長 音洋行氏
ドコモがNFVの商用化に向けた取り組みに着手したのは2014年頃。2016年3月にはvEPCの導入をスタートさせている。
音氏は「すでに非常に多くの装置を仮想化できるようになっており、物理装置から仮想化装置への移行を進めている」と説明。さらに、「早くからNFVに取り組み、5G時代に向けてノウハウを蓄積してきたことがドコモの強みになる」と強調した。