かつてLTEがスタートした際の状況と比べると、5Gの立ち上がりは早い――。
マラーディ氏は、5Gの現状をそんなふうに紹介した。
クアルコムのシニアバイスプレジデントで
4G/5Gのジェネラルマネージャーを務めるドゥルガ・マラーディ氏
LTEは「通信事業者も端末メーカーも数社、片手で足りる状況で非常に小さく始まった」のに対し、「5Gは巨大なスケールで始まっている」という。事実、すでにサービスが開始されている北米と韓国に加えて、ヨーロッパ、オーストラリア、中国、日本でも商用サービス開始が間近に迫る。5Gサービスを発表済みの通信事業者、および対応デバイスをローンチしているメーカーの数はそれぞれ20以上にのぼるという。
もう1つ、LTEスタート時との違いとして同氏が指摘したのが、周波数帯の利用状況だ。「LTEは最初、1つの帯域から始まった」のに対し、5Gは当初から各国の通信事業者が、サブ6GHz帯および「ミリ波(mmWave)」と呼ばれる高周波数帯の電波を利用してサービスを開始する。こうしたことから、マラーディ氏は「世界中で同時に5Gが立ち上がる」と強調した。
2019年5月時点における5Gの状況
5Gについて「よくある2つの疑問」、クアルコムの回答は?
日本ではNTTドコモが9月20日に5Gのプレサービス開始を予定している。国内でも5Gに対する期待は盛り上がっているが、ただし、その能力を体感できるようになるまでにはまだ時間がかかるため、5Gの性能やメリットに対して懐疑的な声があることも確かだ。実際、クアルコムにも「5Gに対する懸念や疑問」が多く寄せられるとマラーディ氏は話した。
同氏が「よくある質問」として挙げたのが次の2つだ。
1つめは、「5Gは高速というが、4G LTEでもすでにギガレベルのスピードが実現できている。5Gとの差は何か」というものだ。