IIJが法人向けiPad用モバイルソリューション発表――アップルとWi-Fi版の販売代理店契約も締結

インターネットイニシアティブ(IIJ)は2010年9月30日、iPad等の高機能モバイル端末を安全に業務端末として使うための新サービスメニューを、「IIJ GIO スマートモバイルソリューション」として11月1日から提供すると発表した。同時に、アップルとWi-Fi版iPadを法人向けに販売できる一次代理店契約を締結し、iPadの販売からモバイル通信回線、クラウドサーバーまでワンストップで提供する体制を敷いた。

執行役員 マーケティング本部長の松本光吉氏

IIJ GIO スマートモバイルソリューションは、同社が法人向けモバイル通信サービス「IIJ モバイル」で培った運用技術と「IIJ GIO」のクラウドサービス基盤を活用して実現した。執行役員マーケティング本部長の松本光吉氏は「“使う”“つなぐ”“管理する”という3つのキーワードでユーザーのビジネスを支えていくシナリオを用意した」と語る。「使う」はアプリケーションゲートウェイソリューション「Mobile Application Gateway」、「つなぐ」はIIJモバイルサービス/タイプD対応モバイルWi-FiルーターとIIJモバイル、IIJダイレクトアクセスの組み合わせソリューション、「管理する」はスマートフォン&モバイル端末管理サービス「Smart Mobile Manager」を指す。

「IIJ GIO スマートモバイルソリューション」の概要(クリックで拡大)

CitrixのXenAppを採用

「使う」の「Mobile Application Gateway」は、Windowsクライアントで利用している業務アプリケーションを外出先からiPadでそのまま利用するためのゲートウェイ機能を、IIJ GIO上のクラウドサービスとして提供するものだ。Citrix社のXenApp等の仮想化技術を使った「IIJ GIO 仮想デスクトップサービス」と、IIJ独自のアクセス認証システム「IDゲートウェイ」を組み合わせ、Windowsアプリを透過的かつセキュアに利用可能とするソリューションだ。

基本サービス構成は、XenAppサーバーとVPNサービスを組み合わせ、iPadなどのクライアントにはCitrixが無料提供している「Citrix Receiver」をインストールする。XenAppを採用することで、モバイルデバイスに適した操作性と高セキュリティを実現できるほか、Citrixの画像転送プロトコル「ICA(Independent Computing Architecture)」を利用することで、遅延が大きく狭帯域な環境でも利用可能になる。予定提供価格は、100ユーザー(同時接続25ユーザー)試算で、1ユーザー当たり月額2580円程度を考えているという。

「Mobile Application Gateway」の概要(クリックで拡大) 「Mobile Application Gateway」の基本サービス構成(クリックで拡大)

iPadをセキュアに社内LANへ直結

「つなぐ」の組み合わせソリューションでは、「IIJダイレクトアクセス」を活用することがポイントだ。IIJダイレクトアクセスは、社内のIDゲートウェイ(終端装置)からiPad等のモバイル端末にプライベートIPアドレスを割り当て、社内LANに直結することができ、社内網への閉域型リモートアクセスを実現する。IIJダイレクトアクセスは、既存のネットワーク上に構築可能な点もユーザーにとって大きなメリットだ。

モバイルWi-Fiルーターについては現在、NTTドコモのFOMA網を利用する「IIJモバイルサービス/タイプD」対応製品を開発中だ。下り最大7.2Mbps、上り最大5.6MbpsというHSPAの高速通信が利用でき、4時間以上利用できるバッテリーを内蔵し、同時に5端末以上の接続が可能になる仕様を目指している。想定価格は2年レンタルの場合で月額800円程度になる見込み。

「IIJダイレクトアクセス」の概要(クリックで拡大) 開発中の「IIJモバイルサービス/タイプD」対応モバイルWi-Fiルーターの目標仕様(クリックで拡大)

各種OSのモバイル端末を遠隔一元管理

「管理する」の「Smart Mobile Manager」(SMM)は、iPadや、iOS、Android、Windows Mobileを搭載したスマートフォンに対し、遠隔操作でセキュリティ対策や端末管理を行う統合的な遠隔管理機能をSaaSとして提供する。各種OSのモバイル端末を1つの管理インターフェースで管理できるため、ユーザーは自社のセキュリティポリシーに応じて、端末のロックやデータ消去、ソフトウェアのインストールや設定、接続先の制御などを一元的に管理できる。

SMMの提供スケジュールは、11月から2011年3月頃まで「フェーズ0」として、iPad向けにリモートワイプ(遠隔データ消去)機能のみを無償提供する。そして、2011年3月以降は「フェーズ1」としてフル機能で有償の正式サービスを開始する予定だ。

「Smart Mobile Manager」のサービスイメージ(クリックで拡大) 「Smart Mobile Manager」の遠隔ロックのデモ。端末を拾得した人向けにメッセージも入れられる(クリックで拡大)

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