NTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)は、「DX Enabler」を標榜し、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現のパートナーとなることを目指している。
企業のDX推進においてはデータの利活用が不可欠となる。そこで、データの収集から解析までを包括的に提供する「データ流通プラットフォーム」を2019年度に提供開始する。
eSIMで自動車や航空機市場を開拓データ流通プラットフォームで重要な役割を果たすのが、IoTやモバイルネットワークだ。これらを取り扱うネットワークサービス部 オープンネットワークサービス部門 担当課長の大坪寛氏は「Global IoT Enablerというコンセプトの下、グローバルでトッププレイヤーを目指したい」と意気込みを語る。
その第一歩として、今年4月を目途にeSIM(embedded Subscriber Identity Module)の提供を開始する。
eSIMは、携帯電話のSIMに記録されている通信プロファイルをネットワーク経由で書き換え、接続する携帯電話事業者の変更などを可能にするものだ。GSMAによって仕様が策定されており、プロファイルの管理・制御を回線管理プラットフォームから行う「M2Mモデル」と、端末から行う「コンシューマーモデル」がある。NTTコムのeSIMはM2Mモデルから開始し、コンシューマーモデルへの対応も急ぐとしている。
遠隔から通信プロファイルを書き換えられるため、ローミングが規制されている国・地域においてSIMを差し替えずに現地キャリアの中から最適な回線を利用したり、IoT機器にあらかじめ組み込むことで出荷先の国・地域の通信環境に合わせた製品仕様の変更が不要になるといったメリットがある。
NTTコムがeSIMのターゲットとしているのが、グローバルにIoT機器/サービスを展開する企業だ。なかでも自動車や航空機は「我々がIoTでまだ入り込めていない分野。eSIMをきっかけにアプローチしたい」とネットワークサービス部オープンネットワークサービス部門主査の井上北斗氏は意欲を見せる。
(右から)NTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部 オープンネットワークサービス部門 主査の井上北斗氏、オープンネットワークサービス部門 担当課長の大坪寛氏、販売推進部門 MVNO担当の青木貴史氏 |
さらに、2020年には国内でフルMVNOサービスを開始する。
HLR/HSS(加入者管理機能)を自ら保有するフルMVNOになると、多様なSIMを自前で発行することが可能になる。NTTコムは、eSIMにSAM(Secure Application Module)機能を組み込んだ「セキュリティSIM」などを検討している。eSIMは、日系企業だけでなく海外の企業にも広く展開していきたい考えだ。