中国でビジネスを行う企業が、通信ネットワークにまつわる問題に悩まされるケースは多い。
中国国内の支社や取引先等との間での通信が遅い、頻繁に切れるといった現象は日常茶飯事で、支社とのコミュニケーションが取りづらくなったり、受発注等が滞ったりする事態も珍しくない。
中国ネットの“2つの大前提”通信の安定化対策は「中国でビジネスをするにあたって大前提」と話すのは、中国進出企業に対してネットワークサービス等を提供しているシーディーネットワークス・ジャパンで営業本部 ダイレクトセールス マネージャーを務める澤崎丞氏だ。
“大前提”はもう1つある。「中国の法制度を理解すること」(同氏)だ。厳格化する中国のインターネット関連規制を理解し、適切に対処する必要がある。
こうしたことは、中国に拠点を構える企業だけに言えることではない。中国市場をターゲットに“越境EC(オンライン商取引)”やコンテンツ配信サービス等を行う場合や、インバウンド需要を見込んで中国人をターゲットにした宣伝用のWebサイトを設ける際も同様だ。
以下、(1)日中間/中国国内の通信ネットワークにおける課題と、(2)インターネット関連の法規制に分けて、中国でインターネット関連ビジネスを行う際のポイントを整理しよう。
(1)日中間通信の課題と対処法――2つの関門を突破せよ!通信を不安定にさせる要因は複数ある。
1つは中国の通信回線の状況だ。チャイナテレコム、チャイナユニコム等の大手通信事業者も含め、ISP間の接続状況が良くないため国内でも通信速度は遅く、品質が安定しない。さらに、ネット人口の急増によって帯域も常に不足気味だ。
中国互聯網絡信息中心(CNNIC)が年に2回発行している調査レポートによれば、2018年6月時点の中国インターネットユーザー数は8億200万人。同年上半期だけで約3000万人も増加した。それでもインターネット普及率は57.7%であり、今後さらなる増加が見込まれる。
帯域不足は中国外との国際回線も同様だ。加えて、日中ISP間の接続コストが高いため、日本-中国間のアクセスで米国等を経由するケースもある。当然、遅延は大きくなる。