IoTで乳幼児の突然死対策、ソフトバンクグループのhugmoが保育士の負担軽減サービス

ソフトバンクグループのhugmoは、IoTを活用した新サービスを発表した。保育士の負担を軽減し、乳幼児の死亡事故を減らすことを目指す。

ソフトバンクグループのhugmoは2018年9月19日、乳幼児の見守りサービス「hugsafety(ハグセーフティ)」を10月1日から提供開始すると発表した。午睡中の乳幼児の呼吸や体の動きなどをIoTで記録、異常時にはアラートを発するサービスだ。

同社代表取締役社長の湯浅重数氏によると、日本では年間100名以上の乳幼児が「乳幼児突然死症候群(SIDS)」と呼ばれる病気でなくなっている。SIDSの原因はまだ明らかになっていないが、仰向けで睡眠することが有効な予防法であると判明している。

そのため保育園には、午睡中の乳幼児の向きなどを保育士がチェックシートに記入し、自治体に提出する「午睡チェック」が安全管理上義務付けられている。この午睡チェックはすべての園児を対象に5分間隔で行う必要があるが、手書きで対応している保育園が多く、保育士にとっては大きな負担になっている。

hugmo 代表取締役社長の湯浅重数氏
hugmo 代表取締役社長の湯浅重数氏。
ソフトバンクの社内ベンチャー制度を活用して2016年11月に同社を起ち上げた

こうした現状に対し、「どうにかIoTで手間を省いて、事故も無くせないか」(湯浅氏)と考え開発したのが、保育士向け午睡チェックサービスのhugsafetyだという。

hugsafetyはマット型IoTセンサーと、同社の連絡帳サービス「hugnote(ハグノート)」アプリを連携させたサービス。hugsafetyを使うには、まずバイオシルバー社が開発したエアー式センサーを8本搭載したマット型IoTセンサーを、布団またはマットレスの下に設置する。このIoTセンサーが乳幼児の挙動を空気圧の変化から検知し、hugmoのIoTクラウド基盤にWi-Fi経由でデータを送信する。

hugsafetyの仕組み
hugsafetyの仕組み

保育士はhugnoteアプリで呼吸、心拍、体動の3つのデータを園児毎に一覧できる。ドリルダウンすることで園児ごとにデータを時系列で確認することも可能だ。また、呼吸が止まる、激しく動くなどの状態になると音声でアラートをあげてくれる。

hugnoteアプリには、午睡チェックの結果を各自治体への提出形式に変換してダウンロードできる機能もある。午睡チェックの記録シートの提出フォーマットは自治体によって異なり、hugmoの調査では4種類あるというが、それぞれの形式に合わせてダウンロード可能だ。

午睡チェックの画面
午睡チェックの画面

hugmoでは今回のサービス開始に先立ち実証実験も実施しており、保育士から寄せられたフィードバックもサービス開発に活かしている。例えば、「お昼寝中に咳をしていました」などの特記事項を園児毎に記入できる機能は、保育士からのフィードバックを受けて盛り込まれた機能だという。

hugsafetyを実際に使った保育士からは「自身の視覚と合わせた二重チェックが可能で、いざという時にはアラートをあげてくれるので、心の負担が減った」「シーツの下に置くだけなので収納が楽だ」といった感想が寄せられているという。

提供価格は以下の通り。クラウドサービスは1施設単位での価格であり、園児の人数が変動しても価格は変わらない。マット型IoTセンサーについては一括払いだけではなく、5年リースも用意しており、その場合は1台当たり月額2200円となる。

hugsafetyの利用料金
hugsafetyの利用料金

厚生労働省の「保育園等におけるICT化推進等事業(事故防止対策分)」の補助金の対象となっており、購入の際は補助も受けられる。補助金の額は各市町村によって異なる。

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