IDC Japanは2018年8月16日、国内SDN(Software-Defined Network)市場に関するベンダーシェアを発表した。これによると、ヴイエムウェア、シスコシステムズ、NECが抜きん出ており、「3強+その他」という市場構造になっていることが分かった。
IDCでは、SDN市場の主要構成要素であるSDNコントローラー市場を、ソフトウェアライセンスとして提供されるNVO(Network Virtualization Overlay)ソフトウェアとSDNコントローラーアプライアンスに分けて分析している。
2017年の国内NVOソフトウェア市場において、70%以上のシェアを獲得して「一人勝ちと言える状況」(IDC)となったのはヴイエムウェアだ。
IDCはヴイエムウェアがSDN市場の初期参入ベンダーの中で、最も成功したベンダーとして勝ち残った戦略上の理由について、「強固なサーバー仮想化の顧客基盤」「データセンター自動化の過程への適切な位置付け」「マイクロセグメンテーションという武器」の3つを挙げている。
一方、国内SDNコントローラーアプライアンス市場は、シスコシステムズとNECが2大ベンダーとして市場を牽引し、シェアを2社で分け合う状況だ。
シスコシステムズは、データセンターSDNの「Cisco ACI」が2017年の成長を牽引した。データセンターネットワークにおける強固なインストールベースを、SDNソリューションの展開にもうまく活用しているという。IDCでは、データセンター向けイーサネットスイッチに対する高いロイヤルティと、ACIの持つポリシーの一貫性やデプロイメントの容易さが評価されていると分析している。
NECは、最初にSDN製品を市場に投入したベンダーの1社で、国内SDN市場、特に企業ネットワークSDN市場を牽引してきた。同社のSDNソリューションは、企業ネットワークを中心に、マルチテナントネットワーク仮想化やセキュリティ防御を得意領域としている。2017年は、「自治体ネットワーク強靭化」に伴う需要増加に加えて、製造業の次世代工場ネットワークソリューションなどの新たな領域に展開し、着実に実績を上げてきているとのこと。
成長を続けるSDN市場だが、IDCによると市場はSDNを超えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代の柔軟性や迅速性を実現する次世代ネットワークを求め始めているという。
IDC Japanの草野賢一氏は「SDNベンダーは、SDNコントローラー中心のネットワークソリューションポートフォリオは、時代遅れになっていると認識すべきである。DX時代に求められる「次世代ネットワーク」という旗印の下で、現在のSDN技術に加えて、クラウド管理型ネットワークやAI(Artificial Intelligence)を活用したネットワークソリューションを早急に再構築すべきである」と解説した。
国内NVOソフトウェア市場/SDNコントローラーアプライアンス市場 ベンダー別分析