企業のクラウドサービスに対する意識が変わってきた。2017年に三菱UFJフィナンシャル・グループが基幹系システムをパブリッククラウドに移行する「クラウドファースト」を打ち出して大きな話題となったように、これまで慎重だった金融業や製造業でも「基幹系も含めたすべてのシステムをククラウドへ」と考え、実行し始める企業が現れてきたのだ。
企業ネットワークの領域でも同様の動きが起きている。その顕著な例として、クラウド管理型無線LANソリューション(以下、クラウド型Wi-Fi)の普及が挙げられる。
2021年には2割がクラウド型にクラウド型Wi-Fiとは、無線LANアクセスポイント(AP)の管理・制御機能をSaaSとして提供するものだ。高価な無線LANコントローラを購入・運用しなくて済む手軽さや、APをインターネットにつなぐだけですぐに利用でき、複雑な設計や設定の必要がないといった特徴を持つ。
調査会社のIDC Japanによれば、企業向け無線LAN機器市場におけるクラウド管理型無線LAN機器のシェアは年々増加し、2017年時点の7%程度から、2021年には20%を超えるまで拡大するとの予測を示している(図表1)。
図表1 国内エンタープライズ向けクラウド管理型無線LAN機器市場支出額予測(2014年~2021年)
クラウド型Wi-Fiの普及が進む理由として、IDC Japanでコミュニケーションズグループマネージャーを務める草野賢一氏は「企業が無線LANを利用する場所が会議室だけでなく、業務を行うオフィスなどにまで広がってきた。新たに無線LAN環境を構築する際、運用管理が一元的に行えたり、初期費用が掛からずに月額料金だけで済むマネージドサービスを受けられたりするクラウド管理型ソリューションが選択肢の1つになっている」と説明する。
また、多拠点や多店舗を持つ企業が、それぞれの拠点や店舗に設置されたAPを統合管理する際にもクラウド型Wi-Fiは魅力的なソリューションとなっているという。
以下、代表的なクラウド型Wi-Fiの特徴を紹介しながら機能進化のトレンドについてレポートする。