スマートグラスは、すでに多くの現場で使われている――。
米ODG(Osterhout Design Group)でCOOを務めるピート・ジェイムソン氏はそう話し、同社のフラッグシップモデル「R-9」等がビジネス現場で活用されている例を紹介した。2010年からヘッドマウントディスプレイを開発・製造している同社では現在、危険作業向けの「R-7」、3D映像表示が可能な軽量モデル「R-8」など複数モデルのスマートグラスを提供しており、製造現場や保守作業、医療、教育など様々なシーンで利用されているという。
ODGのフラッグシップモデル「R-9」
今回締結したパートナーシップでは、R-9をベースにKDDIがスマートグラスの国内利用をサポートする。合わせて、日本人が着用しやすいデザインにカスタマイズし、実証実験を通じて利用の可能性を追求していくという。
また、KDDIおよび国内パートナー企業がxR技術を活用した多様なコンテンツを開発する。ビジネス向けだけでなく、B2B2C型のビジネスモデルでコンシューマ向けサービスの企画開発にも取り組む計画だ。ジェイムソン氏はスマートグラス関連市場について「今後、ビジネスモビリティとコンシューマ市場もかなり大きくなることは確実」とし、「KDDIおよびそのパートナーと、日本で没入感のあるアプリケーションを提供する」と展望を語った。
国内パートナー企業の取り組みをサポートし、B2B、B2B2Cビジネスの創出を目指す
具体的な取り組みとして、KDDIで商品・CS副統括本部長の山田靖久氏は、「2018年の夏に、JALと実証実験を行う」と話した。空港ラウンジにて、スマートグラスでVRコンテンツ等を楽しめる機会を提供。将来的には「機内でも活用いただけるようにする」ことも検討しているという。
(左から)ODG COOのピート・ジェイムソン氏、KDDI 商品・CS副統括本部長の山田靖久氏、
Qualcomm Senior Directorのヒューゴ・スワート氏
なお、ODGのスマートグラスはクアルコム製のチップセットを搭載しており、Android OSのため既存のスマートフォン向けアプリケーションとの親和性が高いことも特徴という。実証実験で使用するR-9は、Snapdragon 835を搭載し、単体での位置トラッキングにも対応したVR/ARアプリケーションが利用できる。現在は通信機能としてWi-Fiを搭載しているが、KDDIとODGはセルラー通信用のモデム搭載をクアルコムと検討する予定だ。