【NGNの新展開】帯域確保型データ通信「データコネクト」の活用法を徹底検証(後編)

NTT東西のNGNが新しい展開を見せている。6月1日から提供が始まった帯域確保型データ通信「データコネクト」は企業ユーザーにとって、どのような利用価値があるのかを徹底検証した。

データコネクトの利用例

テレビ会議システムで映像と共にデータコネクトを利用する形態はあるだろうが、やはり注目すべきなのはデータコネクトのみを使ったオンデマンドVPNである。通信相手が固定で、通信が常時発生するような用途には向かないが、

・1Mbps~数Mbpsまでの帯域
・1日で数時間以下の通信時間

であれば、データコネクトの利用が十分検討対象になる。

さらに、

・複数の通信相手を選択する

ようなケースでは、データコネクトの優位性が大いに発揮できるだろう。

具体的には、例えば「定期的および異常が発生した時だけセンターに情報を通信する監視システム」や、「必要に応じて複数の取引先のセンター装置との接続を行う代理店業務」のような使い方であれば、データコネクトの特徴を活かして比較的低コストのシステムを構築できると考えられる。

また、従来からよく利用されている障害時のINS迂回の代替として、より広帯域な通信が可能であるデータコネクトを利用することも十分可能性がある。

今後への期待

帯域確保型データ通信であるデータコネクトは、これまで十分ではなかったNGNの企業利用の目的で利用できるサービスである。特に、NGNすなわちフレッツ 光ネクストの回線さえあれば、通信事業者に依存せずにユーザー側だけで簡単にVPNを構築できるため、従来にない新たな使い方が広がる可能性がある。今後は、さらに以下のような点について、サービスが拡張されていくことを期待する。

(1)高速な通信も利用可能に
現在はデータストリーム当たり1Mbpsが最大であるが、ハイビジョン映像も伝送できるNGNの実力を考えれば、もう少し高速な通信も可能と考えられる。そうすれば、適用範囲もより広くなるだろう。

(2)プラットフォームとの連携

単にデータ通信が可能となるだけでなく、網側からの指示でデータ通信のセッションを設定したり、利用状況に合わせて通信帯域を最適に変動させたりするようなサービスを実現するために、網内のリソースを管理するプラットフォーム機能との連携を実現することで、NGNをより高度に活用することが可能となるだろう。

いずれにしてもデータコネクトの登場により、NGNの企業利用という点に改めて注目が集まることとなった。

なお、最後に触れたプラットフォーム機能との連携については、NTT東西によるサービスの充実と共にプラットフォーム機能をオープン化し、多くのプレイヤーが競争するような環境を整備していくことも重要な課題である。

NGNのオープン化の必要性は指摘されるものの、これまでNGNのサービス自体が限定的であったため、必ずしも十分な議論はなされていなかった。データコネクトなどNGNの新たなサービスの提供を契機に、改めてNGNのオープン化に向けた活発な議論が展開されることを期待する。

月刊テレコミュニケーション2010年8月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

今井恵一(いまい・けいいち)

NECに入社以来、交換システムの開発、IPv6などインターネット関連の技術マーケティング、企業向けオフィスソリューションの企画などを手がける。 2006年よりテレコムサービス協会での活動を始め、現在は政策委員会委員長として、NGNの利活用や接続ルールなどを中心に積極的な政策提言を行っている。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。