──パブリッククラウドの利用が急速に広がっていますが、その基盤となるネットワークの見直しをせずにクラウドを導入した結果、十分なパフォーマンスが出なかったり、つながらないといったトラブルに見舞われるケースも増えていると聞きます。現在のユーザー企業の状況について教えてください。
長谷部 ネットワークに課題を抱えているお客様は実際に多くて、当社へのご相談も非常に増えています。
クラウドへの接続形態には大きく分けて、(1)クローズドなWANからつなぐタイプと、(2)お客様拠点からインターネットでそのままつなぐタイプの2つがあり、また(1)については、クローズド網からインターネットゲートウェイを通じて接続する形態と、そこからさらにクラウドへダイレクト接続する形態があります。我々の基本的な提案としては、クラウドを利用するために必要な機能・性能を満たした形で提供できる(1)のタイプをお勧めしています。
ただし今後は、(2)も増えていくでしょう。その場合も当然ながら、ネットワークの見直しは不可欠です。
一体で設計・構築、管理が必要
NTTコミュニケーションズ
ネットワークサービス部 販売推進部門
担当部長
長谷部 克幸 氏 ネットワークの検討こそ最優先に! 検討の工程から抜本的に見直そう──ネットワークの再設計を行うことがクラウド導入の大前提ということですね。その際に気を付けるべきポイントは何ですか。
正岡 ネットワークのことはあまり考慮せずに、オンプレミスを前提とした従来のネットワークのままクラウドを導入するお客様が多いのが実情です。
ネットワークの検討が後回しになりがちなことが一番の問題ですね(図表参照)。「どのSaaSを使うのか」が優先された結果、いざ導入する段階になってトラブルが起こるというケースが増えています。
図表 よくあるクラウド導入の検討プロセス(例)
この優先順位を見直して、クラウド導入検討の早い段階でネットワークの検討を行い、クラウドとネットワークを一体として設計することをお勧めしています。
また、ネットワークの検討についても、SD-WANのようなソフトウェア技術を活用したソリューションの採用が今後は増えてきますが、その場合の導入検討の工程も変える必要があると考えています。
従来はまず要件定義を行い、導入するソリューションを選定し、それから検証・評価するという流れで行っていたと思います。しかし、これからは、要件定義の後にまず評価・検証を行うといったように、早期にネットワークの検討を行うことがとても大切になります。
導入検討の工程も変えるべき
NTTコミュニケーションズ
ネットワークサービス部 販売推進部門
ネットワークビジネスエキスパート
正岡 毅 氏 ──とはいえ、ユーザー企業にはネットワークに精通した人員が不足しています。この現状も問題です。