中国の大手通信ベンダーZTEが、日本での通信インフラビジネスの拡大に改めて力を入れてきている。
切り口の1つが、ZTEが「Pre(プレ)5G」と呼ぶ、5G(第5世代移動通信システム)の要素技術を現行の4G(LTE)に先行的に導入するソリューションだ。
その第1弾となるのが、平面上に配置した多数のアンテナ素子を用いて容量の拡大などを実現するMassive MIMOである。ソフトバンクは昨年9月、世界に先駆けてMassive MIMOの商用導入を果たしたが、採用したのはZTEとファーウェイという中国ベンダー2社の装置。ソフトバンクはこれにより、トラフィック集中エリアの容量を最大10倍に拡大した。
中国では、送受信に同じ周波数を使うTDD方式の4Gが導入されている。このこともあり、中国ベンダーは同じTDD方式の採用が見込まれる5Gにも意欲的に取り組んでいる。なかでもTDD方式の4Gとの親和性が高い5Gの要素技術がMassive MIMOであり、Massive MIMOの開発で先行する中国ベンダーは、この技術を4G向けのソリューションとしても積極的に展開している。ZTE本社で5Gソリューションズ マーケティング・ディレクターを務めるアレックス・ワン氏は「プレ5Gはすでに世界30カ国以上で導入されている」と語る。
ソフトバンクは2.5GHz帯のAXGP網にMassive MIMOを導入したが、国内にはTDD用の帯域がもう1つある。3.5GHz帯だ。ZTEは2.5GHz帯に続き、3.5GHz帯でも、プレ5Gの採用を狙う。
(左から)ZTEジャパンのレオ・チャオ氏、ZTEのアレックス・ワン氏、ワン・インハイ氏