メラノックスCEO「AIとビデオの高速ニーズに応える」

InfiniBand製品で高いシェアを持つメラノックスはその技術をベースにイーサネット分野に進出し、今年度から日本国内でもデータセンター向けスイッチ製品を本格的に展開する。社長兼CEOのエヤル・ワルドマン氏に事業戦略と強みを聞いた。

――イーサネット製品の実績と日本国内での展開の狙いを教えてください。

ワルドマン 我々はInfiniBandで日本でも成功を収めてきました。政府機関やNTTドコモ等の通信事業者、ニフティ等のクラウド事業者、大学、そしてトヨタ自動車など大手企業で採用されています。すでに広い顧客基盤を持っており、100ギガ対応イーサネット(GbE)スイッチ「Spectrum」でこれをさらに拡大します。

Spectrumはすでに米国と中国で採用が進んでいる製品です。これらの地域と同様に日本でもデータ量が爆発的に増加しており、25~100GbEの市場が急成長しています。Spectrumは100GbEポート×32、25/50GbEポート×64のラインナップを揃えており、10GbEから25、50、100GbEまですべてのニーズに対応できます。

――Spectrumスイッチの特徴は。

ワルドマン 高スループットと低遅延、そして低消費電力、パケット損失が少ないことです。我々のプロセッサは、ブロードコムやカビウムと比較してパケットのバッファリングのスキームが優れているため、電力の消費効率、パケット損失とも優位性があります。もちろん、価格競争力もあると自負しています。

また、イーサネットアダプタ(NIC)「Connect X」も国内で出荷を開始します。デルやネットアップ、ファーウェイ、レノボ、クアンタム等のスイッチ等にすでに組み込まれており、これを日本でも拡販していきます。

年内に200GbE対応製品を――日本国内でのターゲットは。

ワルドマン 既存顧客に売り込むとともに、AIやビデオなどの特にデータ量の増大が著しい分野でお客様を獲得していこうと考えています。

AIに関しては、中国バイドゥの機械学習プラットフォームにSpectrumと100GbE対応NICのConnectX-4が採用され、学習時間が200%短縮されるといった成果が出ています。また、中国ECサイトのJDドットコムでは、販売する商品の真贋をAIの画像認識で判別するシステムにメラノックス製品を採用しています。

金融やヘルスケア、物流など様々な業種にAI活用は広がっており、我々のターゲットも増えています。

――4K/8Kの実用化が近づくビデオ関連も有望な分野ですね。

ワルドマン その通りです。この分野では通信事業者が有望なターゲットになります。ビデオ配信サービスは通信事業者にとって重要なビジネス機会となりますが、4K映像の配信サービスを行うには、その基盤には25GbEの性能が必要です。我々はSoCからNIC、スイッチ、ケーブルやインターフェースモジュールまでエンドツーエンドで25GbE対応のソリューションを提供できる強みがあります。

そして、2020年のオリンピックの頃には8K映像が用いられるようになるでしょう。我々はすでに2015年から100GbE対応の製品を提供しており、8Kに対応するビデオ配信のインフラ構築で貢献できます。

さらに、2017年内には200GbE対応の製品もリリースします。現行の100GbE製品と同じソフトウェアでマネジメントができるため、100GbEから200GbEへスムーズに移行できることも我々の強みになります。

通信事業者に関しては、クラウドインフラの構築でも我々が貢献できます。他国ではヒューレット・パッカード・エンタープライズやファーウェイと組んで、NFVプラットフォームの構築もお手伝いしています。国内でも富士通やNEC等のパートナーとともにNFV関連ビジネスを進めていきます。

月刊テレコミュニケーション2017年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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