広域性とともに、LPWAを特徴づけるもう1つの要素が省電力だが、実際のところどれくらい持つのだろうか。
「特定小電力と比較して、LPWAの方が電力が持つことは間違いない」。LPWAの実証実験を行った日立システムズの寺本氏はこう語る。年単位のバッテリー持ちを確認するには、その年数分かかる。そのため、確証を得られる実験はどこもまだできていないが、寺本氏のコメントから、検証できる範囲での手ごたえがうかがえる。
10分に1回だとせいぜい半年しかし、いくらLPWAが省電力で、通信1回あたりの消費電力量が少ないと言っても、頻繁に通信してしまうと、当然のことながらバッテリーは早く消耗する。
KCCSの日比氏は、「消費電力が小さいといわれているSIGFOXでも、省電力を意識しないで使えばバッテリーだけで長期稼動させるのは難しい。10分に1回データを送信しようとすると、半年持たない」と説明する。
3G/LTEなども含めて相対的に見ると、この通信頻度で半年は長いだろう。だが、LPWAへの期待は年単位。そんな期待に応えるには、「LPWA流」の使い方が必要になる。
例えば、SIGFOXの1回の送信電力を170mA秒として計算すると、1日2回の通信であれば20年間も稼働可能だ。必要最小限に頻度を抑えて、通信することが求められるのだ。
デバイスの死活監視に関しても、「定期的にデータが上がってくることが、LPWA流の死活監視」と日比氏は述べる。10分おき30分おきに生存確認のデータを上げるようなことをしていては、バッテリーはすぐなくなる。
長期間の運用には、高品質な電池の選択も不可欠になる。欧州では7年以上の電池稼動が可能なSIGFOXのセンサーデバイスがあるが、これらには漏れ電流の少ない高性能電池が用いられているという。