ノキアソリューションズ&ネットワークスのティエリー・クライン氏が「キーメッセージ」としてアピールしたのは次の主張だ。
「5Gを待つ必要はない。コネクテッドカーはもう始まりつつあるのだ」
クライン氏は、ノキア内のイノベーションを統括する組織「Nokia Innovation Steering」の統括責任者。さらに通信業界と自動車業界の企業が参加して昨年発足した業界団体「5G Automotive Association(5GAA)」のバイスチェアを務める。
5GAAの参加企業。昨年9月のスタート時は8社だったが、現在47社まで拡大している。日本企業もデンソー、パナソニック、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが参加する |
クライン氏が「5Gを待つ必要はない」とするのは、「今ある4Gのネットワークで、コネクテッドカーの多くのユースケースはサポートできる」からだという。モバイル通信の業界団体である3GPPは今年3月、3GPP Release 14の中でLTEを用いたセルラーV2Xのコア仕様の標準化を完了させている。
セルラーV2Xとは、クルマ(V:Vehicle)とすべて(X:Everything)をつなぐ、セルラー技術を用いたコネクテッドカー向け通信技術のこと。
V2Xはさらに、車車間通信のV2V(Vehicle to Vehicle)、クルマとスマートフォンを持った歩行者など間のV2P(Vehicle to Pedestrian)、クルマと信号機などの路側機間のV2I(Vehicle to Infrastructure)、クルマとネットワーク間のV2N(Vehicle to Network)に分類される。
V2Xには、車車間通信(V2V)や路車間通信(V2I)などがある |
セルラーV2Xの対抗技術としては、クルマ専用に作られたDSRCもあるが、「私たちの信念では、セルラー技術のほうに優位がある」とクライン氏。
「モバイル通信と同じ技術であるため、エコシステムが大きく、スケールメリットがある」、「DSRCでは誰がシステムを展開するかが疑問だが、セルラーV2Xであればモバイル通信事業者がすでにインフラを所有している」ことなどが理由として挙げられるという。