「ネットワークカメラは当初、オプションにする予定だったが、標準で取り付けることにした。加速度センサーのデータだけでは、本当に危険運転だったか判別できないケースがある」
物流倉庫や工場などで利用されているフォークリフトを監視するIoTサービス「FORKERS(フォーカーズ)」の開発背景についてこう説明するのは、三井物産エレクトロニクス(MBEL)のCTO、早川恭二氏だ。
同サービスは、フォークリフトに取り付けた車載器に搭載されている加速度センサーで危険運転を検知する。ところが、「危険運転なんてしていない。急に何かがフォークリフトの前に転がってきたから、避けるために急旋回しただけだ」などとオペレーターが主張した場合、加速度センサーのデータだけでその真偽を明らかにすることは難しい。そんなとき管理者は動画データを見れば、本当に危険運転だったかどうかを判断できる。
2つのパスでクラウド接続FORKERSはフォークリフトの危険運転を検知して安全運転を支援するほか、稼働管理、部品の保守支援、日報や週報といった報告書作成などを自動化するIoTサービスだ。
どのフォークリフトメーカーのフォークリフトでも、必要なデバイスを取り付ければFORKERSのサービスが利用できる。そのデバイスとは、車載器やネットワークカメラ、電源ボックス(Wi-Fi通信モジュール搭載)、RFIDリーダーだ(図表)。車載器はクルマに取り付ける無線装置で、3G通信モジュールのほかにも加速度センサー、GPSなどを搭載している。
図表 IoTサービス「FORKERS」のシステム構成イメージ
これらをセットアップしたフォークリフトにオペレーターが乗り、イグニッションをONにするとブザーが鳴る。ブザーを止めるには、オペレーターが自分のカードをRFIDリーダーにかざす必要がある。これにより、誰がどのフォークリフトを運転しているかが識別できる。
RFIDで認識したオペレーターの情報は、車載器の3Gでクラウドに送られる。加えて、車載器でモニタリングしているフォークリフトの稼働時間・走行距離などの情報も同じく3Gでクラウドに集められ、オペレーターの日報、週報、月報としてレポートが自動生成される。
FORKERSでは、3Gのほかにも、ネットワークカメラ用に、電源ボックスからインターネットへ向かうWi-Fiも装備した。
「動画データを従量課金の3GやLTEで直接クラウドに送信すると通信コストがかさむ。そこでもともと車載器についている3Gとは別系統で、電源ボックスからネットワークカメラ用にWi-Fiでもインターネットにつながるようにした」と早川氏は言う。