「保育園落ちた日本死ね!!!」――。心がすさむようなタイトルが付けられた匿名ブログが公開されたのは、今からおよそ1年前。これが国会でも取り上げられて話題となり、2016年は保育園の待機児童問題が大きなニュースになった。そして新年度を控えた今、再び認可保育園の落選を嘆く声がSNSなどで目立ち始めている。
子どもを産んでから職場復帰する女性が特別な存在ではなくなり、子育て世代の共働き家庭は増えている。出生率を改善して少子化問題を乗り越えるには、出産後に安心して子どもを預けられる保育園の存在が不可欠となる。しかし、保育園の受け入れ体制はまだ整っていないのが現状だ。
2015年9月に宣言された「アベノミクス第2ステージ」では、新3本の矢として「経済成長」「子育て支援」「社会保障」が挙げられた。待機児童問題は、第2の矢である子育て支援に直結する喫緊の課題である。
保育業界にデジタル革命を!そんな待機児童問題には、大きく2つの壁が立ちはだかっている。「用地不足」と「保育士不足」だ。
保育園の用地には、広さや安全性など一定の基準が求められるが、こうした基準をクリアする施設を確保するのは難しい。そんな用地不足の解消に向け、国土交通省は先般、公園内に保育所を設置できるようにする方針を固めた。
また、保育士不足の原因は、給料の安さや保育業務の過酷さなどにある。薄給なうえに心身ともに疲弊する労働環境を目の当たりにし、保育士の資格を取得したが他の職に就く人も多いという。
保育士の待遇改善に取り組んでいる厚生労働省によれば、2015年4月からスタートした「子ども・子育て支援新制度」において、民間の保育士の給与は平均3%改善された。その一方で、業務の過酷さを解消するのは簡単ではなく、あまり有効な対策がない。
そうしたなか、保育業務を効率化することで保育士の負担軽減を目指すスタートアップ企業がある。
「日本の保育園が抱える課題を、IoTやAIを活用して解決していきたい。保育業界に『デジタル革命』を起こす」――。こう力強く語るのは、2013年に創業したユニファの代表取締役社長、土岐泰之氏だ。
ユニファ代表取締役社長の土岐泰之氏
同社はこれまで、インターネット写真サービス「るくみーphoto」から始まり、園児見守りロボット「MEEBO」やMEEBOのカメラにQRコードをかざす「登降園管理システム」などを提供してきた。そして現在、保育業務の効率化を実現する「保育園内見守り業務の支援サービス(以下、見守り支援サービス)」の開発を進めている。