藤枝市全域をカバーするLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークが、実証フィールドとしていよいよ動き出す。
OMC2017の講演で、藤枝市企画財政部企画経営課主幹の渡邊彰博氏は次のように明かした。
「新学期から市内の新入生全員にセンサーを配り、見守りの実証実験を始める。そして8月からは、事業者にも実証フィールドとして提供する」
現在、藤枝市がソフトバンクと構築しているIoTプラットフォームは、藤枝市をLPWAでカバーし、そこから出てくるデータを収集したりAPIで外部に取り出したりできる基盤だ。同市が中心となって実験する子どもの見守りでは、子どもにセンサーを持たせ、子どもの居場所を把握したり登下校時や問題発生時に保護者へ通知したりする仕組みを検証する。
藤枝市の全域をLoRaWANエリアにする |
また、事業者向けには8月からIoTプラットフォームを提供開始する予定だが、積極的な活用を推進するため、初めの半年間は無償で提供することも考えているという。「都市部と郊外の全域を網羅するようなインフラが整わないと、商業ベースでもなかなかIoT活用は進まない。実証フィールドとして積極的に活用してほしい」と渡邊氏は語る。
募集する実証実験は2種類あり、1つは「藤枝市共同実証実験テーマ」で公共サービスに資するもの、もう1つは「フリーテーマ(事業者自らがテーマを設定)」でジャンルは問わない。藤枝市共同実証実験に関しては、「最大5件まで、1件につき約200万円を藤枝市が支援する」(渡邊氏)という。
藤枝市が想定しているユースケース |
8月以降の実証実験開始に向けた、事業者募集のスケジュール |
「いま構築しているIoTプラットフォームはAPI接続できるようにするため、民間事業者の方にも使ってもらえる。独自で構築するより安価に実証実験できる」と渡邊氏は述べる。公募に関しては、4月に事業者向けの説明会を藤枝市と汐留のソフトバンク本社で開催する。詳細は今後、HPで案内する予定だ。
現在藤枝市は、LPWAの中でもLoRaのネットワークインフラを準備しているが、将来的にはLoRa以外のネットワークも展開する予定だ。「今後はLoRaに限らず、Wi-Fi、NB-IoTなども使用可能な、マルチプラットフォームとして展開したい」(渡邊氏)という。