「並外れて先行している。早すぎるくらいではないか」――。日本のある大手通信事業者が、そんな驚きとも言える反応を見せるのは、中国・深センに本社を構える大手通信ベンダーのファーウェイによる、NB-IoTへの意欲的な取り組みだ。
免許が必要な周波数帯(ライセンスバンド)を使うLPWAであるNB-IoTは、2016年6月に移動通信システムの標準化団体3GPPで仕様が固まったばかり。日本での商用展開は2018年以降になると見られている。
そんななかファーウェイは、2016年7月には大手通信事業者チャイナ・ユニコムとNB-IoTを使ったスマート・パーキング・ソリューションの実証実験を上海でスタートさせている。さらに9月には深センの水道会社とチャイナテレコムとともに、テレメトリング(遠隔検針)システムのトライアルを開始しており、年内にも本格運用のフェーズに入る計画だという。
ファーウェイの日本法人でシニアマーケティングマネージャーを務める郭宇(かく・たかし)氏は、「中国の他の都市や韓国、オーストラリア、スペインなどでも、スマートメーターやスマートパーキング、アセットトラッキング(資産追跡)などのフィールド試験を進めている」と明かす。
ファーウェイ・ジャパン ジャパンマーケティング本部 シニアマーケティングマネージャー 郭宇氏 |
他の通信ベンダーのNB-IoTトライアルが機能検証にとどまるなか、商用化を視野に入れたフィールド試験を世界各国で展開するファーウェイの動きは頭一つ抜け出している。
これらのトライアルは規格が確定する前の暫定仕様を用いて行われているが、ファーウェイは「年内には標準仕様に基づいたNB-IoTの端末チップセットのサンプル出荷が開始され、17年春にはそれにもとづいた商用展開が始まる」(郭氏)という。