「これまでの屋内向け位置情報ソリューションでは、精度が足りないと困っているお客様がたくさんいた。『試してみたけど使えなかった』『もう諦めていた』といった話を聞いている」
こう述べるのは、パナソニックAVCネットワークス社のイノベーションセンターで無線ソリューション開発部の担当部長を務める野口浩氏だ。同社は2016年9月から、屋内外向けの高精度な位置情報ソリューション「HD Beacon」を新たに提供開始する。
同ソリューションについて野口氏は、「屋外だけでなく、屋内でも3m以下の位置精度を出せる」と説明する。位置の精度が3m以下とは、システムで計測した位置と実際の位置との誤差が3m以内であるということだ。HD Beaconでは、95%の確率でその位置精度を出せることを性能表示の基準にしている。
GPSが届かない屋内でも常時3m以下の誤差を実現するソリューションは、なかなか見当たらない。従来の屋内向け位置情報ソリューションの場合、95%の確率で出せる位置精度は10~20m以上というのがパナソニックによる検証結果だ。
パナソニック AVCネットワークス社 イノベーションセンター 無線ソリューション開発部 担当部長 野口浩氏 |
3mだから正確に動線把握位置情報を活用する上で、誤差が3mと10mでは、使い勝手に大きな差が生じる。
工場を例に考えてみると、工場の製造ラインには、機械の列と通路が交互に並んでいる。機械の幅を3m、通路の幅を2mと仮定してみると、機械の片側にある通路から逆側にある通路までは合計7mになる。
作業の効率化を図るために、作業員がどの通路をどのように移動しているか把握しようとしても、10m以上の位置精度では正確な動線は把握できない。「このエリアにいそうだな」という大雑把なロケーションは捉えられるが、作業効率の向上に役立てられるほどの分析は難しい。
他方、3m以下の位置精度であれば、どちら側の通路で人が作業しているかを区別できる。そうしたことから、これまで位置情報の活用を諦めてきた工場などにとって、HD Beaconは待望のソリューションなのだ。
実際に、従来の位置情報ソリューションでは動線分析ができなかった工場で実証実験を行ったところ、HD Beaconでは問題なく分析することができたという。その工場では、実証実験を通して、大幅な作業効率化を実現している。