ノートPCやスマートフォン/タブレットの普及に合わせてオフィスの無線LAN導入が加速しているが、プリンタや複合機、プロジェクタなど依然としてLANケーブルにつながったまま取り残されている機器は多い。さらに、産業用機器や医療機器、ラベルプリンタ、POS端末などの特定業務用のデバイス群も、大方はLANケーブルで配線されているのが現状だ。
高額かつ耐用年数の長い機器・装置ほどその傾向は強く、もし無線通信機能を備えた最新機種が出たとしても買い替えるのは簡単ではない。そのため、機器を移動したり、催事場におけるPOSレジのように短期間だけ利用する場合に、ケーブル配線がさまざまな制約を生むことになる。
高額な医療機器も安価に無線化そんな“この線を無くしたい”という悩みに応えるのが「有線-無線ブリッジ」製品だ。イーサネットポートしかないデバイスを無線LANに接続できるようにする“変換器”である。
いま、この引き合いが急増していると語るのは、サイレックス・テクノロジーのグローバルマーケティング本部製品戦略室でプロダクトマネジャーを務める木地隆浩氏だ。同社は組み込み用の無線LANモジュールを主力事業としながら、無線LANアクセスポイント(無線AP)等の各種製品も開発・販売している。そのラインナップの1つとして2013年から有線-無線ブリッジ製品を提供。「15年度に販売が急増した。OEMモデルも含めると、その前年に比べて2.6倍の台数が出ている」という。その勢いは現在も衰えていない。
サイレックス・テクノロジー グローバルマーケティング本部 製品戦略室 プロダクトマネジャー 木地隆浩氏 |
導入目的としては、どんなオフィスにもあるプリンタや複合機のほか、POSレジや医療機器の無線化も目立つという。ブリッジ製品によって外付けで無線LAN機能を付加すれば、無線LANを備えた最新機種に買い換えるのに比べて、圧倒的に低コストに無線化できる。
図表1 サイレックス・テクノロジー製品による変換/ブリッジの例 |
また、業務用機器メーカーにとっても、無線LANを組み込んで新たに機器を開発するのに比べて、迅速にユーザーニーズに応えられる。特に医療機器については、新たに無線を組み込んで開発・製造した機器の届出や承認に期間がかかるため、外付けで無線LAN機能を付加できるブリッジ製品の需要が高いという。