SDN製品を売るのではなく、SDNを使ったソリューションを売る――。ネットワークベンダー各社からは昨年以降、こんな言葉が多く聞かれるようになった。企業・業界ごとに特有のニーズや具体的な課題にフォーカスし、その問題を解決するためにSDN技術を使うのだ。
一方、ユーザー企業側にもSDNの効果に関する認知が進んでおり、自社が抱える課題と照らし合わせて具体的に「SDNをどう使うか」を検証するフェーズに入っている。最早SDNは、企業ネットワークにおいても“当たり前”のものになりつつある。
広がるSDN販売・構築パートナーこうした変化の背景には、SDN製品や構築技術が成熟し、販売・構築するパートナーが広がったこともある。
「UNIVERGE PFシリーズ」を提供するNEC SDNビジネス開発室 シニアマネージャーの藤本幸一郎氏は「通信キャリアの法人営業がPFシリーズを売ろうと動き始めている」と話す。「技術の習得も容易で手離れも良いことが理由」だ。NECが手がけた導入事例を参考に、WANサービスの顧客等に提案しようとしているという。
他ベンダーも、例えば日立情報通信エンジニアリングが2015年10月にシスコシステムズのSDN製品をベースにSDNアプリケーションを開発し、販売を開始。今年3月4日には日立ソリューションズが、オープンソースのSDNコントローラ「OpenDaylight」でSDNの導入・構築から保守までを提供する「SDNネットワーク運用効率化ソリューション」を発売した。
また、海外の新興ベンダーの製品も次々と国内市場に入ってきている。中でも注目されるのが、WANにSDNを適用し、ソフトウェアで集中制御できるようにするSD-WANだ。日商エレクトロニクスが昨年末に、マクニカネットワークスが今年3月に米Viptelaと販売代理店契約を締結。ネットワンシステムズも昨年、VeloCloudの取り扱いを始めている。
このようにSDNを扱うチャネルの広がりも後押しとなり、2016年度は企業LAN/WANの領域でもSDNの普及が一層進みそうだ。