ファーウェイは1988年に創立された会社で、通信事業者向けのソリューションや通信端末を主力として展開しています。私が所属している日本法人(ファーウェイ・ジャパン)も今年10年周年を迎えることができました。本日は、ファーウェイのIoTへの取り組みについて話をして参りたいと思います。
近年急速に普及したモバイルインターネットの世界は「人と人」のコネクションで、我々はこれを世界の総人口、100億にまで広げることが重要だと思っています。コネクションは、これにとどまらず人とモノ、モノとモノに広がり「IoT(モノのインターネット)」が確立していくことになるでしょう。2050年までには1000億のモノがネットワークにつながるようになると我々は考えています。この時代にはビジネス用途の接続がコンシューマー用途を上回るようになるでしょう。
華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン) 副社長兼マーケティング&ソリューションセールス本部長 周明成氏 |
IoTの活用領域は多岐にわたりますが、我々は特にスマートファクチャリングと呼ばれている分野が、将来的に非常に重要になってくると見ています。ドイツではすでにIoTを活用して製造業のコストを大幅に引き下げようとする「インダストリー4.0」が国と民間の共同プロジェクトとして推進されています。中国でも同様の取り組みが「チャイナマニュファクチャリング」として2020年をメドに立ち上げられる予定です。製造業の他にもエネルギーや行政の分野など多方面でIoTが活用されていくことになるでしょう。
こうした状況を踏まえて、国内外の多くの通信事業者がIoTへの取り組みを行っていますが、我々はこのビジネスが大きく広がるには3つの面で課題があると考えています。
まずビジネス面の大きな問題となるのが、単に接続を提供するだけでは収益性の高いビジネスは展開し難い点です。アプリケーションを含むソリューションの提供が重要になりますが、これらを個別に通信事業者が開発していたのでは、タイムリーな市場投入は困難です。これを打開するには、他の企業とのパートナーリングが重要になります。
技術面では、センサーネットワークなどのニーズに対応するため、通信モジュールの価格を引き下げ、かつ省電力性も高める必要があります。人と人との通信に影響を及ぼすことなく、膨大な数のIoTのコネクションに対応することも重要です。ユースケースによっては地中のデバイスからでもデータが送れる強力なカバレッジも必要です。
標準化の面では、標準化組織間で調整が不十分でエコシステムが発達していないことが問題です。非通信産業と通信産業の間で各種のインターフェースを変換する必要も生じています。