全国、そして海外でも内線通話が可能にPHSからのMNPということもあって、iPhoneのキッティングには苦労もあったようだ。MNPでは、予約番号を発番してから15日以内にキャリアの移転作業を行わなければならない。また、社員は現場を飛び回っている。そうしたなか、iPhoneのキッティング作業を進めなければならなかったからだ。
「例えば、『今週は岡山にいるけど、来週は現場』といったように、多くの社員は出張で各地を転々としています。ですから、いつPHSを回収し、キッティングしたiPhoneをいつどこに届ければいいのか、そのスケジューリングが大変です。最初は工程の見通しが立ちませんでしたが、KDDIと相談しながら1人ずつ段取りを行い、無事作業を終えることができました」とエンジニアリング本部 電気計装部の林芳樹氏は振り返る。
エンジニアリング本部 電気計装部 林芳樹氏 |
こうして2015年3月から利用し始めたiPhoneとKDDI ビジネスコールダイレクト。
構内PHS時代は親会社のクラレのPBXと連携し、クラレ側とも内線通話が行える環境を実現していたが、これをしっかり維持。加えて、KDDI ビジネスコールダイレクトでは、屋外でも内線できるようになった。
「これまでは内線をかけた相手が社内にいないと『070ナンバーへ掛け直してください』というメッセージが流れたのですが、今はどこにいても、そのまま内線でつながります。これは便利ですね」(加藤氏)
岡山本店を訪れた取引先の人が受付から内線をかけたら、海外に出張中の社員がそのまま内線を取った、ということもあったそうだ。
懸案だった現場でのつながりやすさについては林氏がこう話す。
「以前は、急いで電話を掛けたいのに、山の中だから掛けられないといったことがよくありました。しかし、今はどこでも電波がつながるので本当に助かっています」
PHS時代も現場ケータイはあったが、台数が限られていたうえ、利用の際には貸出申請が必要だった。これはモバイルWi-Fiルーターも同じで、社員にとっては結構な手間だったという。それが現在は、正社員全員に支給されているiPhone1台で、構内PHS、現場ケータイ、モバイルWi-Fiルーターの3役を実現できている。