「次の行動」を示唆するクラウドへ進化
このようにマルチデバイス対応とクラウドに邁進するマイクロソフト。では、9月23日から提供が始まったOfficeの最新版、Office 2016はどのように進化したのか。
「生産性を高めるということは、無駄をなくすことだけではない」と越川氏。Office 2016は、次のビジネス創造を支援するためのツールへとさらに進化しているという。
「クラウドに情報が入ると機械学習し、『次の行動はこうではないですか』とクラウド側から示唆してくれる。そんなインテリジェントツールが、Office 2016から実装されている」
例えば、溢れ続けるデータへの対応。「私なんかも、1日のメール受信数は1100通もあり、全然仕事ができない」
しかし、新しいOutlook 2016には、低優先メール機能が新搭載。これまでの閲覧状況などから、クラウド側でそのメールの優先度を判断し、低優先のメールは別フォルダーに保存する機能が備わった。これにより毎日来る大量のメールに埋もれることなく、業務を効率的に進めていける。
また、越川氏は、自分が関心を持ちそうな情報をクラウド側で見つけてくれるDelveも紹介した。
「同じチームのメンバーや他の組織の共有設定されている情報のうち、私に有効であろう情報を示唆してくれるのがDelve。私も1日に1回はDelveのサイトを見に行く」
クラウド側から、自分が関心を持ちそうな情報を提案してくれるDelve |
Excel 2016には、過去のデータから、ワンクリックで将来予測を行える機能が備わった。越川氏は、コーヒーショップの各店舗の売上実績から将来の売上予測を行ったり、東京23区の女性人口とコーヒーショップの店舗数をグラフ化して出店戦略に活かすデモなどを実演。
「Excelに数字を入力するのがビジネスの目的ではない。肝は、その数字からインサイトを導き出し、どうビジネスにつなげるか。新しいビジネス作りに貢献するのが、新しいExcelだとご理解いただきたい」と訴えた。
Excel 2016なら、こんなグラフィカルなグラフも簡単に作成可能。ビジネスに役立つインサイトをすぐに導き出せる |
このほか、音声コーデックがRT AudioからSILKに変わり、音声品質が大幅に向上したSkype for Business(旧Lync)や、複数のユーザーで同時に1つのドキュメントを編集できるWord 2016の共同編集機能などのデモも披露。
「今日はほんの一部の機能の紹介だったが、Office 365というクラウドサービスによって、Office 2016は新しい機能をこれからも続々と展開していく。常に進化するクラウドが、皆さんの生産性を高める」と進化し続けるOfficeをアピールした。
新しい音声コーデックを採用し、音質が向上したSkype for Business。その結果、ユーザーの通話時間も15%伸びたという。講演会場でも、スマートフォンのテザリングで会議に参加する人の音声がスムーズに聞き取れた。 |
クラウドというとセキュリティを懸念する向きもあるだろう。この点についても、「全世界で攻撃を一番受けているのはアメリカのCIA、2番目がマイクロソフトだと言われている。しかし、我々は35年間、一度もファイアウォールの中に侵入されたことがない」と絶対の自信を見せた。
大量のデータに埋もれることなく、次のビジネス創造に必要な情報をクラウド側から示唆してくれるインテリジェントツールへと進化したOffice 2016。
「クラウドベンダーとしてのマイクロソフトは、クラウドを通じて皆さんのワークスタイル変革を支援していくことを誓って、最後の言葉とさせていただきたい」と述べて越川氏は演台を降りた。