サムスンのスマホ戦略、次の一手とは?――堤COO「BtoB軸に市場創り出す」

需要が一巡した感のあるスマホ市場をさらに伸ばす方策はどこにあるか。4月にサムスン電子ジャパンのCOOに就任、Galaxy S6拡販の陣頭指揮をとる堤氏に成長戦略を聞いた。

――堤さんは、シスコシステムズでサービス・プロバイダー向けのソリューションを長く担当されました。サムスンでは今どのようなミッションを担っているのですか。

 サムスン電子ジャパンは、サムスンのスマートフォンやタブレット端末などの無線通信端末や携帯電話の基地局装置などのネットワーク機器を日本で展開しています。私は無線事業本部長も兼務していて、主力のスマホ・タブレットを中心に事業を見ています。

私の任務は、大きく3 つあると考えています。1つはこの会社をさらに大きくすること。2つ目はそのために、4月に発売された「Galaxy S6/S6 edge」(以下Galaxy S6)を拡販すること。最後にモバイル市場を皆さんがより有益だと思ってもらえるものに変えていくことです。短期的にはこれらの中でもフラッグシップのGalaxy S6の販売数を伸ばすことが最大のミッションになります。

――具体的にはどのような施策を採っているのですか。

 我々が特に力を入れている取り組みの1つに、多くの方に実際にGalaxy S6をお使いいただき、この製品の良さを分かってもらうことがあります。スマホはどれも同じではないかと思われる方も多いと思いますが、Galaxy S6のパフォーマンスは他のスマホに比べ格段に高いのです。例えば、プロセッサーの性能は第三者機関の調査で他社の2年先を行っていると評価されています。2560×1440ピクセルの5.1インチ超高精細有機ELディスプレイの採用によって、非常に綺麗な画面を実現しています。

サムスンではこれを活かして、Galaxy S6をセットして360度のバーチャル・リアリティ(VR)の映像を楽しめるヘッドマウントセットを專門メーカーと協同開発しました。

こうしたことは他社のスマホではとても実現できないのですが、お客様にそれを理解していただくのは結構難しい。そこで2014年4月から家電量販店のショップ・イン・ショップとして展開しているGalaxy S6の専門店「Galaxy Shop」を強化し、VRなどを実際に体験していただけるようにしました。VRを使った方は皆、驚かれます。

――Galaxy Shopは何店舗ぐらいあるのですか。

 札幌から大阪まで18 店展開しています。ショップといっても端末を売っているわけではなく、専任スタッフが製品の特長や操作方法などをレクチャーし、気に入っていただけたら、その量販店で購入してもらう形をとっています。ショールーム的な位置付けです。

この他にも、拡販に向けて全国に約330名のプロモーターとGalaxyマスターを配置し、各店舗を巡回して販売現場をサポートする体制も整備しました。純正アクセサリーも従来の10倍の約600アイテムに増やしGalaxy S6の世界を広げていこうとしています。

――Galaxy S6の販売目標はどの程度なのでしょう。

 具体的な数字は申し上げられませんが、私自身はまずGalaxy S6を日本のAndroid端末のナンバー1にしたいと考えています。

月刊テレコミュニケーション2015年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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堤浩幸(つつみ・ひろゆき)氏

NECに19年在籍後、シスコシステムズ(日本法人)で11年にわたって通信事業者向けソリューション事業などに携わる。2015年4月にサムスン電子ジャパンに入社、代表取締役最高経営責任者(COO)に就任(現職)

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