富士通研究所は2015年9月28日、既存の光ファイバーを利用しながら、サーバー間の光通信を従来の2倍に長距離化する光送信器技術を開発したと発表した。
サーバー間光通信では現在、マルチモード光ファイバーが広く利用されており、25Gbpsのデータ伝送速度で最長約100mの接続が行える。しかし、データセンターの大規模が進むなか、フロア面積を拡大してサーバーを増やすため、サーバー間光通信のさらなる長距離化が求められていた。
そこで富士通研究所は、長距離化を実現するうえで課題となる「モード分散」という現象を、中継光導波路を挿入することで低減させる技術を開発。既存の光ファイバーを用いて、サーバー間光通信を従来の2倍に長距離化することに成功した。
マルチモードファイバーにおける長距離化の課題
富士通研究所によると、モード分散を低減させる特殊な光ファイバーもあるが、既存のマルチモード光ファイバーと比べて価格は約1.5倍となり、敷設済みの光ファイバーを交換する必要もある。
富士通研究所では、今回開発した技術を実装した光トランシーバーの小型化を進め、2017年度の実用化を目指すという。
中継光導波路によりモード分散を低減する構造