SSL-VPNによるリモートアクセスソリューションを提供するパルスセキュアは2015年7月28日、日本法人「パルスセキュアジャパン」を設立したと発表した。日本法人のカントリーマネージャには旧・日本ラディシス代表取締役の奥村康弘氏が就任する。また、新たなSSL-VPNアプライアンス製品「Pulse Secure Appliance(以下「PSA」)」を発売することも発表し、日本国内でも販売代理店を通じて9月から提供を開始する。
パルスセキュアジャパンのカントリーマネージャの奥村康弘氏(左)と、
パルスセキュア プロダクト・ソリューション担当シニアディレクターのダン・デアリング氏
パルスセキュアは、ジュニパーネットワークスからスピンアウトしたベンダーであり、2014年10月の事業売却に伴いジュニパーのSSL-VPN関連事業を承継した。これに伴い、それまで「Juniper Networks SA/MAGシリーズ」として販売されていたSSL-VPN製品は、「Pulse Secure Connect Secure MAG(以下「MAG」)」に名称を変更。今回発売されるPSAはその後継となる製品だ。
PSAは、モバイルPCやスマートフォン/タブレット端末から社内システム、データセンターやクラウドサービスにSSL-VPNで安全に接続するリモートアクセスを実現するものだ。MAGの既存ユーザーは、設定をそのまま移行することができるため乗り換えが容易で、かつ、MAGの3倍の端末を収容し、効率的な管理が行えるのが特徴だ。また、プロダクト・ソリューション担当シニアディレクターのダン・デアリング氏によれば、「競合であるシスコシステムズの4倍、F5の2倍のスケールを持つ」という。
新製品は4機種を揃える。小規模/ブランチオフィス向けの「PSA300」「PSA3000」は同時セッション数が200、大規模向けの「PSA5000」は同時セッション数が2500、そして「PSA7000」は最大35000の同時セッション数をサポートする。また、PSA7000は、完全冗長化した信頼性の高さも売りだ。大容量化によって、管理するアプライアンス数とクラスタ数、ラックスペースが削減され、消費電力も抑えられる。加えて、複数のPSAを一元管理するための管理ツール「Pulse One」を使うことで、さらなる管理負荷の軽減が可能という。
こうしたハードウェア面の進化に加えて、機能も強化している。社員の私物端末内にセキュアな業務用の領域を作る「BYODコンテナ」機能、アプリケーション毎にVPN通信を行う機能などだ。複数のデータセンター/クラウドサービスへのシングルサインオンを実現するSAML認証もサポートする。
また、今後の日本国内の事業展開について奥村氏は、「ジュニパーのディストリビュータ・パートナーおよびリセラーを継承し、チャネル販売を継続する」と話した。現在、ディストリビュータは6社、リセラーは100社以上あり、これらのパートナーのトレーニング等を行う「日本向けのチャネルプログラムを拡充する」という。今回の新製品発売、さらにスマートフォンやタブレット向けソリューションの拡充等により、「2016年に国内SSL-VPNシェア50%以上を目指す」と話した。