日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)と調査会社のITRは2015年3月24日、「企業IT利活用動向調査2015」の結果の一部を発表した。国内企業698社のIT/情報セキュリティ責任者を対象に、1月26日から30日にかけて調査を行っている。
まず「重視する経営課題」については、「業務プロセスの効率化」が今回も引き続き1位になった。また、2位には前年から8.7ポイント上昇した「情報セキュリティの強化」が入っている。今回、「情報セキュリティの強化」の値が上昇した背景には、2014年に発覚して社会問題となった関連会社スタッフの不正による情報漏洩事件があると見られるという。
一方、近年、値が上昇していた「社内コミュニケーションの強化」と「社内体制・組織の再構築」については、「逆に前年から若干値が低下しており、守りを固めようとする企業の姿勢が垣間見られ」るとのこと。
重視する経営課題(2013年~2015年) |
セキュリティといえば、最近はクラウドのセキュリティに対する懸念がかなり払拭されてきたように思えるが、それを裏付ける結果も得られている。
セキュリティに関して、クラウドが有利と考えている人の割合が、オンプレミスが有利と考えている人を上回った。ただし、「金融・保険」ではほぼ拮抗するなど、業種による差も見られる。
「情報漏洩被害の軽減」に関するシステム環境への認識 |
このほか、来年1月から運用がスタートする社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)への対応状況についても聞いている。
マイナンバー制度に関する情報システムの対応状況について、「完了している」と回答下人の割合は約2割。その一方、「対応予定だが未着手である」「対応の必要はないと考えている」「わからない」の合計は6割以上に及び、多くの企業で対応がこれからという現状が浮き彫りになっている。
社会保障・税番号制度に対するシステムの対応状況と対応範囲 |