――社長に就任されて、まもなく3年が経とうとしています。この間、ICT業界を取り巻く環境は大きく変わりました。クラウド一辺倒から、IoTやウェアラブルといったキーワードが世評をにぎわすようになってきました。事業展開に及ぼす影響もかなりあるものと思われます。
佐々木 そうですね。IoT、それも特に「IoT/M2M」は私どもの主要ドメインであるICT事業と通信エンジニアリング事業に密接に関係する事業領域ですから、経営資源を重点的に投下する分野と捉えています。
――その辺りの事業戦略を中心にお聞きしたいのですが、その前に現状のドメイン別の売上構成を教えてください。
佐々木 昨年度の連結売上1163億円のうち、ICTが48%で通信・環境エネルギーエンジニアリングが48%、経営コンサルティングが4%といった割合です。特徴的なのは、通信エンジニアリング分野がこの間の通信事業者のインフラ強化に伴い大きく伸びたという点と、私どもは環境エネルギーエンジニアリング分野と位置づけているメガソーラー発電所建設工事が売上増大に貢献してくれたことです。
――環境エネルギーという新しい事業領域を確立し、今後IoT/M2M分野でICTと通信エンジニアリングの事業シナジーが生まれれば飛躍的な事業拡大が望まれるわけですが、ICT事業は業務パッケージの普及やクラウドの普及で売上拡大や利益確保もなかなか難しい事業になっています。システムインテグレーションではアマゾンのAWSやマイクロソフトのAzureをアプリケーション基盤に使うのが当たり前のようになっていると聞いています。
佐々木 そうですね。スクラップアンドビルドで一からアプリケーションを組み上げるような案件は少なくなりました。これから先のSI事業はただ業務パッケージを導入するとか、クラウドを使ってアプリを開発するとかではまったく差別化がつかなくなり、価格競争に陥って事業そのものが立ち行かなくなることも考えられます。差別化こそ喫緊の課題です。