――2014年の市場規模、伸びについてはどう見ていますか。
田中 一般オフィス向けについては、無線LANの導入が堅調です。2013年に比べて30%程度伸びています。
我々はワールドワイドでは25%程度伸ばしていますが、米国等に比べると日本はまだ無線LANの浸透が遅れていて、一般企業向けも公衆無線LANも、まだまだこれから伸びる余地が大きいと考えています。
――特徴的な動きとして、通信事業者やベンダーが無線LANコントローラの機能をクラウド型で提供し、運用管理も行うクラウド型WiFiサービス(WiFiクラウド)が増えてきました。
田中 その通りです。我々のAruba Centralや、シスコシステムズのMerakiといったコントローラレスのIAP(インスタンスアクセスポイント)の導入が進んでいます。これで、中堅中小企業(SMB)の新規マーケットを開拓しようとしています。従来は無線LANの導入は大企業が中心でしたが、スマートフォンやタブレット端末が普及した影響で、SMBでも関心が高まっています。
SMBのお客様は、運用が簡単にできるものを求める傾向が強いので、無線LAN利用の裾野を広げるためには、ベンダー側が運用を代行するマネージドサービスの充実が必要になります。
ただし、難しい点もあります。無線LANの運用だけを代行しても、お客様にはあまり魅力がありません。例えば、UCアプリケーションや教育用コンテンツと無線LANを一緒にサービスとして提供するといった形のビジネスが今後出てくると予想しています。
「企業ネットワークを適正化する」
――大企業については、どういった傾向がありますか。
田中 UCの導入に合わせたオフィスの無線LAN化が1つのトレンドとして見えて来ています。
アルバはマイクロソフトとのパートナーシップによって、Microsoft Lyncに最適化した無線LANソリューションを提供しています。Lyncの導入に合わせて固定電話機を撤廃して、スマートフォンとLync Mobile(UCクライアントアプリ)を利用する形に移行しようとする企業が出てきているのですが、そうすると、有線LANのスイッチや配線、電源等が不要になり、そこにかかっていたコストが大きく削減できます。アルバのAPなら1台で30程度のユーザーをカバーできますから、UC 導入と同時にネットワーク関連のコストも効率化できるのです。
――オフィスの無線LAN化によって、大幅なコスト削減が可能になると。
田中 そうです。我々は、「ネットワーク・ライトサイジング」(Network Rightsizing:ネットワークの適正化)を3年ほど前から推進しています。
社員1人が使用する端末が増えたことで、一般的な会社でも1人当たりの有線LANポート数が3つ程度あると言われています。しかし、アクティブに利用されているポートはその半分もありません。これは非常に無駄なことです。
無線LANにすることで、これを最適化できます。50~60個の有線ポートを(APを接続する)1つにできるわけで、スイッチの数を減らし、その分、高機能なAPを入れてバックボーンをギガビットにするといった提案も今後広がっていくと思います。