数年間のバッテリー駆動も可能な「低消費電力」、そして無線通信に関する深い知識が不要な「アプリケーション開発環境」という2つの大きな特徴を持ったBluetooth Smart――。2010年にこのBluetooth Smartが登場したことで、Bluetoothの世界は、それまでのヘッドセット等の枠を超えて大きく発展した。
Bluetoothデバイスの年間出荷台数予測 |
「Bluetoothデバイスの2014年の年間出荷台数は30億台。2018年にはなんと49億台と、世界の人口とほぼ同等のBluetoothデバイスが1年間に出荷されると予測されている。Bluetoothは無線技術の歴史上、類を見ない成長を遂げている」
Bluetooth SIG ブランド&デベロッパーマーケティング シニアディレクターのエレット・クローター氏は、2015年1月23日に開かれたBluetooth SIGの記者会見でこう述べている。
このように急成長するBluetooth市場だが、昨年12月、その勢いをさらに加速させる可能性がある新規格が策定されている。「Bluetooth 4.2」だ。
記者会見に登壇した3氏。(左から)Bluetooth SIG ブランド&デベロッパーマーケティング シニアディレクターのエレット・クローター氏、Nordic Semiconductor ASA(Japan) カントリー・マネージャーの山崎光男氏、アプリックス Deep embedded エバンジェリストの今井環氏 |
Bluetooth 4.2の3つの強化ポイント
クローター氏によると、Bluetooth 4.2は次の3つの点で、従来のBluetoothと比べて大きく進化しているという。
Bluetooth 4.2の強化ポイント |
1つは、IoT(モノのインターネット)の実現技術としてだ。具体的には、「Bluetooth 4.2では、IPv6のアドレスをBluetoothデバイスに付与できるようになり、インターネットに直接つなげられるようになった」。
従来、Bluetoothデバイスとインターネットをつなぐ場合、スマートフォンやタブレットなどをゲートウェイにして接続する必要があった。しかし、Bluetooth 4.2では、Bluetooth Smart上に完全なIPスタックが実装されており、ダイレクトにインターネットに接続できる。
Bluetooth 4.2により、Bluetooth SmartデバイスにIPv6アドレスを付与、IPで通信できるように |
「Wi-Fiなどとまったく同じようにIPが使えるので、Bluetooth Smartの1つひとつのデバイスが、Wi-Fiなどと同じように通信できるようになる。これにより、Wi-FiやIEEE802.15.4といった他の通信技術と、IPという共通言語をベースにシームレスに通信できる」。Nordic Semiconductor ASA(Japan) カントリー・マネージャーの山崎光男氏は、その意義をこのように説明した。
また、山崎氏によれば、非常に汎用的な技術であるIPに対応したことで、Bluetooth対応の家庭用ルーターなども開発しやすくなるという。