音声ARで日本の魅力を再発信 ソニーマーケティング・NEC・昭文社HDの新コンソーシアムが始動

ソニーマーケティング・NEC・昭文社HDらの「音声ARコンソーシアム」が今年7月に本格始動した。JTBやNTT西日本なども参画し、音声ARを活用した新たな観光体験の創出や地域活性化を目指す。

本格普及に向けた3つの取り組み

――具体的には、どのような取り組みを進めていきますか。

安彦 3つあります(図表)。

1つめは、年に1回の「音声ARサミット」の開催です。音声ARの実証事例を、特に自治体や国の関係者に知ってもらう場として位置付けています。現状では、音声ARそのものを知らない人も少なくないと思いますので、まずは認知度をさらに高める場が必要だと考えています。

2つめとして、コンソーシアム内でノウハウを共有する場を設けます。各地域の成功事例だけでなく、失敗事例やその原因を共有することで、同じ失敗を繰り返さないようにしたいです。こうした知見を各地域で生かし、より魅力的な観光体験を提供することで、日本を好きになる外国人旅行者が増えればと思っています。

3つめが、表彰制度の創設です。音声ARを活用し、集客などで優れた成果を上げた地域を表彰することで、地域の皆様に誇りを持っていただきたいと考えています。表彰された地域が成功事例として注目を集めれば、観光客の増加にもつながるでしょう。

さらに、その取り組み事例を見て、「来年は自分たちの地域でも挑戦したい」と考える自治体が増えれば、音声ARの活用が全国へ広がるきっかけになると期待しています。

図表 音声ARコンソーシアムの主な活動内容

図表 音声ARコンソーシアムの主な活動内容

――音声ARにおける通信の重要性については、どう捉えていますか。

安彦 例えば、数万人規模の観客が集まるスタジアムで、音声コンテンツを遅延なく提供できるのかという課題があります。今後、通信事業者と連携して安定したサービス提供を実現できれば、音声ARの活用の幅はさらに広がると考えています。

そのため、通信事業者にもコンソーシアムへ参画してもらい、次世代通信を含めたICT技術について議論できる場を設けたいと考えています。

久保田 具体的な取り組み内容はこれから検討していきますが、NECとして技術面で貢献できる部分があれば、ぜひ力を合わせていきたいです。

――今後の目標をお聞かせください。

安彦 コンソーシアムが目指しているのは、「日本を好きになった」と感じてもらえる体験を提供することです。移動中も音声コンテンツを楽しめる新しい観光体験を通じて、日本への興味や愛着を深めてもらいたいと考えています。そうした旅行者を1人でも増やすため、国や自治体、通信事業者などと連携を深めていきます。

宇津井 YouTubeには数多くのクリエイターが動画を投稿していますが、音声コンテンツはまだそこまで広がっていません。しかし、景色を見ながら音声を楽しむなど、動画よりも音声の方が適した体験もあります。

音声コンテンツのクリエイターを増やすには、まず音声ARの魅力を知ってもらい、実際に体験してもらうことが重要です。「自分たちの地域でも音声コンテンツを作ってみたい」と思う人が増えれば、各地域でクリエイターが育ち、その土地ならではのコンテンツも生まれてくるでしょう。音声ARの価値は、実際に体験してこそ伝わるものです。だからこそ、誰もが各地域で気軽に音声ARを体験できる環境の整備も検討していきたいと考えています。

[月刊テレコミュニケーション 2026年9月号の記事を再構成]

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