スマートフォン市場で圧倒的な人気を誇るiPhone。ビジネスシーンにおいても、iPhoneを導入する企業が多数派を占めている。
北海道恵庭市に本社を構えるコーンズ・エージーも、iPhone導入でほぼ固まりつつあった。最終プレゼンの当日までは――。
北海道恵庭市にあるコーンズ・エージーの本社。酪農の本場である北海道に10拠点、岩手・栃木・群馬・熊本・宮崎・東京に各1拠点を構えている |
必要だったのは「落としても、汚れた手で操作しても、壊れないスマホ」
コーンズ・エージーは1861年(文久元年)、創業者のフレデリック・コーンズ氏が、横浜の外国人居留地で同社の親会社コーンズ・アンド・カンパニーの前身を創業したのが始まりだ。
以来、様々な分野に進出しながら、世界中の優れた製品を日本に展開してきたコーンズ・アンド・カンパニー。フェラーリやロールス・ロイス、ベントレーなどの超高級車を販売するコーンズ・モータース、電子デバイスや精密機械等を扱う技術専門商社のコーンズ テクノロジーといったグループ会社を擁している。
そのなかにあって、Agriculture(農業)の最初の2文字「AG」を社名に付けたコーンズ・エージーは、1968年に設立された酪農機器の専門商社である。収穫機械や搾乳機器、搾乳ロボット、自動給餌機、ふん尿処理機械、牛舎用設備、トラクターなど、酪農先進国である欧米を中心とした世界各国より最新機械を輸入し、その販売・サポートを行っている。
牧場の牛舎内で稼働するコーンズ・エージーが納入した自動給餌機 | コーンズ・エージー本社で出荷を待つランボルギーニのトラクター |
すなわち、コーンズ・エージーの社員の“現場”は牧場だ。牛舎内で酪農家と商談したり、寒風が吹きすさぶなか、泥や油にまみれて酪農機械のメンテナンスを行ったりするのが、同社社員の仕事である。だからこそ、代表取締役社長の南部谷秀人氏は、スマートフォンの選定にあたって堅牢性にこだわった。
「iPhoneは私も使っており、もちろん優れた端末だと思っています。しかし、私たちの現場には、スマート過ぎます。落としても壊れない耐衝撃性や、汚れた手で操作しても壊れない防塵性など、堅牢なスマートフォンが我々には必要でした」(南部谷氏)
コーンズ・エージー 代表取締役社長 南部谷秀人氏 |
最終プレゼン中の社長の一言により、振り出しへ戻ったかに見えた機種選定。しかし、同社に最適なスマートフォンは、実はちゃんと候補の1つとして用意されていた。KDDIのタフネススマートフォン「TORQUE(トルク)」である。
その場で実際に床に落とし、TORQUEの頑丈さを自ら確認した南部谷氏。2014年8月末、コーンズ・エージーは管理部門なども含む全社員約170名にTORQUEを導入した。