「ロボットSP」を目指せ
フィジカルAIが本格普及する未来を見据え、通信事業者やICTベンダーに求められる役割は何か。MRIの松本氏は、「ロボット・サービスプロバイダー」という役割を提案する。
ロボット・サービスプロバイダーは、AIロボットを販売するだけではなく、「Robot as a Service(RaaS)」として提供し、業務への適用設計から運用・保守までを包括的に支援する事業者とMRIは定義する。
ロボット本体の低価格化は進んでいるものの、導入コストは依然として高く、特に中小企業では運用を担う人材の確保・育成も容易ではない。こうした課題に寄り添う存在がロボット・サービスプロバイダーであり、「通信事業者やICTベンダーもロボット・サービスプロバイダーになり得る」。
松本氏によれば、ロボット・サービスプロバイダーには、①ロボット技術に関する知見、②顧客課題への理解、③人とロボットの役割分担を設計する能力という3つの素養が求められる。自社でのロボット導入・運用を通じて蓄積したノウハウに加え、多様な顧客の業務課題に向き合ってきた経験も、通信事業者・ICTベンダーの強みになるという。
このロボット・サービスプロバイダーの存在が国内で広く定着すれば、2040年時点でのサービス分野における労働力不足を約30%低減できるとMRIは試算している(図表4)。
図表4 ロボット・サービスプロバイダーの導入効果

富士経済の松井氏も、製造業を中心とした企業からは、「ロボットメーカーは導入時こそ手厚く支援してくれるものの、その後のサポートは手薄になる』という声をよく聞く。通信事業者やICTベンダーには、『ロボットを導入して終わり』ではなく、導入後の継続的なサポート体制も担ってほしい」と語る。
また、「通信技術への理解だけでなく、AIロボットが活用される現場も踏まえたうえで、『こうしたフィジカルAIの活用方法はどうか』と提案していく姿勢が新たなシナジーを生む」とMRIの氏丸氏。通信事業者やICTベンダーが自らロボットベンダーやユーザー企業に歩み寄り、フィジカルAIの活用方法を提案することが市場形成につながると同氏は提言する。
通信事業者やICTベンダーには、フィジカルAIを支える高信頼かつ低遅延な通信基盤の提供に加え、RaaSやセキュリティ、現場運用まで含めたトータルな支援が期待されている。フィジカルAI時代において、通信事業者やICTベンダーが果たす役割は今後ますます重要になりそうだ。









