マイクロソフトがIoT戦略を説明「IoTは“未来”ではない。今使っているデバイスから始めよう」

日本マイクロソフトは2014年10月15日、IoTへの取り組みに関する記者説明会を開催した。マイクロソフトが提唱するIoTへのアプローチは、「Internet of Your Thing」=すでにあるインフラやデバイスから始めるIoT。竹中工務店や日立ハイテクノロジーズとの協業も発表された。

「IoTの市場は、お客様からは極めて複雑に見えているのではないか」。米マイクロソフト本社 コーポレート バイスプレジデントの沼本健氏はこう指摘する。

IoTに対する企業の関心は日増しに高まっている。だがその一方で、具体的に何をすればいいのか――沼本氏の言う通り、多くの企業が第一歩を踏み出せていないことも確かだろう。マイクロソフトでも「今、何をすればいいのか」という質問をよく受けるというが、同社ではこう回答しているという。

「我々が言っているのは、『Internet of Your Thingsです』と。つまり森羅万象、ありとあらゆるデバイスのことを考える必要はない。『あなたのデバイス――今使っている既存のインフラや既存のデバイスからIoTを考えましょう』とお客様とは会話している」

IoTのために、必ずしも新規にデバイスを導入する必要はない。「例えば小売業であれば、一番大切なデバイスはPOS端末かもしれないし、医療機関であればモニタリング機器やタブレット端末からもしれない。こうした今使っている既存のデバイスを使って、ビジネスインパクトを与えていくことが可能というのが、マイクロソフトの視点だ。IoTは未来のものではなく、今からできる」と沼本氏は説明した。

IoTに対するマイクロソフトの視点
IoTに対するマイクロソフトの視点

竹中工務店と日立ハイテクがAzure上でIoT

マイクロソフトのIoTソリューションの中で、中核的な役割を果たすものの1つがクラウド基盤の「Microsoft Azure」だ。この日の会見には、Azureを活用してIoTに取り組むパートナー2社も登壇した。

まずは竹中工務店 情報エンジニアリング本部長の後神洋介氏。竹中工務店では、クラウドを活用したBEMS(Building Energy Management System)サービスを2015年以降に提供するが、そのクラウド基盤にAzureを採用するとともに、クラウドベースの予測分析サービスであるAzure Machine Learningで機械学習も行う。

「今まで提供していたBEMSはビルごとにシステムが完結していた。クラウドにデータを吸い上げて統計処理や機械学習を行うことで、ビル単体ではなく、街全体を最適に制御していきたい」と後神氏は話した。将来的にはエネルギー管理にとどまらず、街の安心安全、にぎわいのある街づくりも視野に、スマートシティに取り組むという。

竹中工務店の次世代BEMSの概要
竹中工務店の次世代BEMSの概要

次に登壇したのは、日立ハイテクノロジーズ 新事業創生本部 コーポレートプロジェクトマネージャ 兼 IoT担当部長の田辺徹氏だ。同社がAzureを基盤に提供するのは、医療機器や産業機械向けの予兆診断サービス。

「例えば医療機器の場合、突然ダウンすると、予定していた治療ができなくなったり、医者などのスケジュールの見直しが必要になる。私どもの予兆診断サービスを利用すれば、医療機器メーカーは事前に故障を予見し、保守や修理などを行うことが可能になる」という。

また、Azureを選択した理由としては、クラウド環境の構築が容易なこと、国内にも東日本と西日本にデータセンターがあるなど地理的な冗長性が確保されていること等を挙げている。

日立ハイテクノロジーズの医療機器/産業機械向け予兆診断サービスの概要
日立ハイテクノロジーズの医療機器/産業機械向け予兆診断サービスの概要

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