ドコモのNFV戦略を聞く「2015年度には何らかの形で導入したい」

NTTドコモが2015年度中のNFV商用導入に向けて本格的に動き出している。「できるだけ多くの機能を仮想化したい」と、広範囲にNFVを適用させていきたい考えだ。

仏アルカテル・ルーセント、シスコシステムズ、NECの3社と進めてきたネットワーク仮想化(NFV:Network Functions Virtualization)に関する実証実験に成功したと、5月27日に発表したNTTドコモ。

今後3社以外のベンダーの参加も得て実証実験を行い、2015年度のNFVの商用化を目指すドコモのNFV戦略を取材した。

仮想化EPCの基本機能の実証が今回の実験の目的

NFVは仮想化技術を活用して、専用のハードウェア(アプライアンス)で構築されてきた通信ネットワークの機能を、汎用ハードウェア上で実現しようとするもの。ネットワークの構築・運用コストを大幅に削減できるうえ、サービス開発の迅速化なども可能になるとされることから、世界の通信事業者が強い関心を寄せている。

NFVで仮想化の対象となるネットワークの機能は多岐にわたるが、今回の実験ではLTEのパケットコアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)に仮想化技術を適用し、機能検証が行われた。

NTTドコモでNFVの技術開発を担当するネットワーク開発部ネットワーク仮想化基盤担当部長の音洋行氏は、「EPCでは、モビリティ制御を担うMME(Mobility Management Entity)などはIMSと同様にITとの親和性が高く仮想化に向いているが、データ伝送を行うS-GW(Serving Gateway)やP-GW(PDN Gateway)はややハードルが高くなる」とした上で、「今回の実験にはNFVで規定している技術がどの程度実現できるかを確認する意味があった」とその狙いを説明する。仮想化EPCの基本機能の実力の検証が今回の実験の大きな目的だった。

さらに実験では仮想化EPCの特徴となる(1)トラフィックに応じて自動的に通信設備の処理能力を増大させるオートスケーリング(つながりやすさの向上)および(2)通信設備が故障した際の予備構成への自動切替え(サービス継続性の確保)の2つの機能の検証も行われた(図表)。

図表 仮想化モバイルコア網(vEPC)の実証実験で検証された2つの機能[画像をクリックで拡大]
仮想化モバイルコア網(vEPC)の実証実験で検証された2つの機能

実験はアルカテル、シスコ、NECがそれぞれの仮想化EPC製品を導入したIAサーバーを持ち寄る形で実施されたが、3社の製品が共にこれらの機能を実現できることが確認されたという。

月刊テレコミュニケーション2014年8月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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