「ドコモが新たな一歩を踏み出した理由」――阿佐美経営企画部長インタビュー

NTTドコモは新料金プラン、VoLTEで他社に先んじたことで「攻め」の局面に入った印象を与えている。7月には大規模な組織改革を行い支社・支店と地域子会社の一体化などを進める。「携帯電話事業が過渡期を迎えるなか、新たな付加価値を生み出したい」と経営企画部長に就任した阿佐美氏は意気込みを語る。


――6月1日に開始した新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の契約数が7月6日時点で約510万件を突破するなど出足好調です。

阿佐美 新料金プランは、当社にとってまさに大きな決断でした。しかし、国内で初めて通話定額制とパケットシェアプランを出したことで、他社より一歩先んじることができたと思います。

従来、お客様の間では携帯電話の音声通話は「料金が高い」というイメージがあり、そのためにVoIPアプリなど他社の通話サービスに流れていました。ところが、カケホーダイの導入以降は、今までよりも通話時間が伸びています。もともと「たくさん話したい」という潜在的なニーズがあり、定額制によって時間や料金を気にせず通話できるようになったということなのかもしれません。

他方、パケあえるは、長期契約している人にぶら下がる形で家族がパケットを分け合うというユニークな発想です。データ通信を使う量に個人差がある中で、無駄なく使いきれることから割安感があると思います。

パケット利用を増やすには、水道水のように1人のお客様により多く使っていただけるよう蛇口をひねって開ける方法と、電気のようにコンセントを多くしてより多くの機器を接続することで消費量を増やす方法の2通りがあります。米国の通信キャリアは数年前からパケットシェアプランを導入していますが、より多くの機器を使う方向にあるようです。

NTTドコモ 阿佐美弘恭氏
NTTドコモ 取締役常務執行役員 経営企画部長 阿佐美弘恭氏

――単に新しい料金プランを始めるだけでなく、利用スタイルそのものを変えていくということですか。

阿佐美 そうなります。スマートライフビジネス本部長時代も、タブレットで動画を視聴するという利用スタイルを苦労しながら作ってきました。深夜にテレビで見たい番組がないときにオンデマンドで好きな番組を選べるようにしたり、自宅でダウンロードした動画を通勤時間中に視聴するといったスタイルは、お客様が使われているうちに見つけるもので、始めからニーズがあったわけではありません。

新料金プランも、開始当初は若干の減収になることは覚悟の上で、お客様に実際に利用してその価値を認めていただき、より多くのパケットをお使いいただくような方向に持っていけたらと考えています。

月刊テレコミュニケーション2014年8月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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