競争相手が変わる
——今回のテレコムサービスBUの再編については、経済安全保障領域としての事業改革という狙いもありました。
佐藤 我々には無線や光通信など、共通的に使える要素技術があります。具体的にはこれからですが、社会インフラという大きな傘の中に入り、新たな開発投資もできるようになってくるので、テレコムだけの出口ではなく、防衛など他領域への展開も見出していけると考えています。
——海外でも、日本の技術を自国の経済安全保障のために活用したいというニーズは増えているのではないですか。
佐藤 通信インフラの国産化(内製化)を国策として強力に推し進めている国があり、例えば、NECは海外の通信機器ベンダーに技術供与することで、安全保障の強化に貢献しています。
「日本品質」は世界から求められており、技術提供した国が大量展開すれば、コストも安くなります。ノウハウビジネスと呼んでいますが、大手通信ベンダーとは違う、こうした形での価値提供も進めていきます。

——デジタルインフラはまさに経済安全保障の基盤そのものですが、将来的にデジタルインフラ全体をパッケージ的に提供していく可能性もありますか。
佐藤 実際の取り組みはまだですが、あり得ると思っています。
4Gから5Gへの移行は、テレコムアーキテクチャーの変化でした。しかし、おそらく5Gから6Gについてはそうではありません。デジタルインフラ全体がAIネイティブになっていく中で、6Gというジェネレーション名が付けられているだけだと思っています。その意味では、我々の競争相手も通信ベンダーではなく、ひょっとすると戦うべき相手は今後変わってくるのかもしれません。
NECの唯一無二の価値は、海底ケーブルから宇宙、防衛まで、エンドツーエンドでデジタルインフラのアセット・技術を有していることです。ですから、我々もテレコムという領域だけを見ていてはいけません。
NEC は今、「AIネイティブカンパニー」への変革を進めていますが、ネットワークソリューション事業部門も新たなビジョンとして「Trusted Connectivity Empowering an AI Native Society」を掲げました。あえてネットワークではなくコネクティビティとしたのは、「つなぐ力」がAIネイティブ社会では大切な価値になるという思いからです。
NECの総合力を活かして、AIネイティブ社会に信頼できるコネクティビティを提供していきます。
[月刊テレコミュニケーション 2026年6月号の記事を再構成]









